中学受験の国語は主に説明文や小説文が出題され、様々な本から文章が抜粋されています。
一方、どの程度のレベルなのか、専門的な本からも出題されるのか、小学生になじみやすいテーマなのか、疑問点もあるかと思います。
また、随筆文や詩、俳句・短歌が出題されることもあり、こうしたジャンルはどう対処すべきか、疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、塾講師経験から中学受験の国語で出題される文章や本の特徴について、各テーマに沿ってご紹介していきます。
目次
中学受験の国語で出題される文章の特徴
まずは国語で出題される文章の特徴からご説明します。
国語の読解問題は、説明文と小説文が多く登場します。
他にも詩などを出題する学校もありますが、まず対策しなければならないのは説明文(論説文)と小説文(物語文)になります。
*厳密には説明文と論説文、小説文と物語文でそれぞれ違いがありますが、ここでは説明文(論説文)、小説文(物語文)としてご説明します。
説明文とは
説明文(論説文)は、ある事柄について筆者が情報を整理し、論理的に説明し、筆者の考えなどを述べる文章のことをいいます。
テーマは自然環境や文化・文明、言語・コミュニケーションなど様々で、小学生にとって身近なテーマも含まれます。
説明文の読解は、本文の論理展開を一つ一つ追っていき、与えられた情報や筆者の主張を正確に把握しなくてはなりません。
自分の想像だけで本文の内容を捉えるのではなく、あくまで本文に書いてあること・筆者の主張を正確に把握する力が必要です。
もちろん小説文も自分の想像だけで読んではいけないのですが、説明文は特に本文の正確な内容把握が重視されます。
小説文とは
小説文(物語文)は、その名の通り小説・物語をテーマとするものです。
複数の登場人物がいて、それぞれの心情などが描かれ、ストーリーが進んでいきます。
こちらは説明文のような論理展開とは異なり、人物がどのような心情なのか、どのように場面が変わっていくのか、など、心情・場面の変化に焦点が置かれます。
テーマは小学生にも比較的共感しやすいものが多く、学校が舞台で小学生が登場人物になるなど、感情移入しやすいものも見られます。
ただし、こちらも説明文同様、想像だけで読解してはいけません。
登場人物がどのような心情なのか、場面はどう変わっていくのか、本文に沿って内容を把握する必要があります。
その他の文章
1.随筆文
随筆文とは、筆者の経験・体験などを通じ、筆者の考えや感想、心情などが書かれた文章です。
説明文(論説文)との大きな違いは、随筆文はあくまで筆者の経験・体験が元になっているという点です。
説明文の場合、自然環境やグローバル社会など、一般的な事柄について筆者が論理的に説明したり主張を述べたりしますが、随筆文は一般化された事柄ではなく筆者個人の経験や体験を主なテーマとします。
ただし随筆文は、説明文や論説文とともに「論理的文章」という区分けに入ります。
小説文(物語文)は「文学的文章」に分類されますが、随筆文は文学とは異なり、架空の登場人物やストーリーがあるわけではありません。
そのため、説明文同様「論理的文章」となり、説明文・論説文との違いが紛らわしい場合があります。
受験勉強では、論理的文章の一環として随筆文の対策も行う形になりますが、まずは説明文・論説文に慣れ、その延長で随筆文の読解にも慣れていく、といったイメージです。
2. 詩
詩は、感情や主観的な事柄などについて、独特の文章で表現するものです。
小説と同じく文学に含まれますが、小説文のようなわかりやすい文章ではなく、一見するとよくわからない文章で様々な感情が描かれます。
文学の一つとしては非常に奥深いものですが、受験のテーマとしては対策が難しいジャンルでもあります。
ただ、詩を出題する中学校は少なく、対策としては必要最低限で良いと言えるでしょう。
例年必ず詩が出題される学校なら重点的な対策が必要ですが、そうでないなら少し触れておく程度で、説明文や小説文の対策がメインとなります。
また、詩とはいえ、本文に書いてあることを中心に考えなければならず、この点は説明文や小説文と同じです。
3. 俳句・短歌
学校によっては、中学受験でも俳句・短歌が出題される場合があります。
こちらも詩と同様、出題例は少ないですが、必ず俳句・短歌が出題される学校の場合、もちろん対策が必要です。
また、新たに俳句・短歌を扱う学校が登場する可能性もあるので、説明会等で事前に情報をチェックしておきましょう。
中学受験の国語で出題される本の特徴とポイント
さて、ここまでの話を大前提として、中学受験の国語で出題されるのはどのような本なのか、ポイントを整理しておきましょう。
問題演習とは別に本を読んでおくべきなのか
最初に、そもそも国語の勉強の一環として本を読んでおくべきなのか?という点についてご説明します。
確かに、本を多く読めば読むほど文章に抵抗はなくなり、読解力も伸びるため、読書は効果的です。
ただし、当然のことながら中学受験は試験を乗り切らないと合格できません。
読書をすることがゴールではなく、読解力を伸ばし、国語の入試問題攻略に活かし、他の科目も含めて試験を突破することが目的です。
そして、入試問題にはそれぞれ傾向があります。
国語であれば、選択肢問題、書き抜き問題、記述問題など様々な設問形式が登場し、読解力に加えてこうした設問をテキパキ進める力を鍛えなくてはなりません。
繰り返しますが、読書は確かに効果的です。
ただ、「本を読んでいれば国語は問題ない」ということはまずないので、その点はどうかご承知おきください。
以下、国語で出題される本の特徴をご説明しますが、その本を読んでいれば大丈夫、と言う話ではありません。
基本は、問題演習などを通じて受験の傾向に沿った力(読解力を含む)を磨くことです。
その受験勉強に関する情報として、具体的にどのような本から出題されるのか、ご説明していきます。
説明文に関する本
どの程度のレベルが出題される?
いくら中学受験とはいえ、小学生が解く問題ですので、あまりに専門的で難解すぎる本は出題されないでしょう。
一方、誰でも簡単に読める文章というわけにもいきません。
具体的には、本格的な専門書とまではいかず、新書クラスの文章は出題される、といったイメージです。
新書なら特に専門知識がなくても読めますし、文章も比較的まとまりが良いので、受験の説明文としては扱いやすいでしょう。
ただ、これは本によりますので、一概に言えるわけではありません。
また、学校によってはもっと難解な、あるいはもっと平易な文章を説明文・論説文として出題する場合もあります。
志望校・併願校の過去問はしっかり確認し、どの程度のレベルなのか、事前に確認しておきましょう。
説明文の頻出テーマ
頻出テーマとしては、自然環境、言語・コミュニケーション、文化・文明など、比較的イメージしやすいものが多いです。
環境問題や動植物に関する話、グローバル社会におけるコミュニケーション、異文化交流など、小学生でも関心を持ちやすい内容となっています。
国語の問題集によってはテーマ別に問題が用意されているので、問題集から頻出テーマを研究してみるのも効果的です。
また、気に入った文章があれば、同じ著者の作品を読んでみるのも良いでしょう。
読解問題は作品名・著者名がしっかり書いてあるので、参考にしてみてください。
長い文章が出題される学校の場合
学校によっては、大学受験レベルの長い文章が出題されることもあります。
ただし、長い文章だから難易度が上がるとは限りません。
長ければ長いほど時間配分に注意は必要ですし、より素早い読解力は求められますが、高度な専門書レベルの文が長々と出るわけではないのです。
志望校・併願校の国語の文が長いからといって、あえて難解な本を読む必要はありません。
それより、長めの読解問題に多く触れるなど、あくまで受験国語としての対策をしっかり進めることが大事です。
小説文に関する本
小説・物語とはいえ、いわゆる純文学的な文学作品ばかり出題されるとは言えないでしょう。
最近の小説が扱われることも多く、その内容も小学生に比較的なじみやすいテーマになっています。
例えば学校が舞台で主人公は小学生であったり、家庭が舞台であったり、小学生として共感しやすいものも多いです。
そのため、一般的な小学生レベルで日頃から小説や物語に触れておけば、小説文に対する抵抗もなくなるでしょう。
ただし、繰り返しですが、あくまで国語として読解しなければならず、しっかり本文に書いてあることを中心に把握しなければなりません。
小学生にとって、小説文は説明文よりなじみやすいでしょう。
だからと言って想像だけで読むことのないよう、しっかり国語の問題として捉え、本文から場面・心情の変化を把握する必要があります。
普段から様々な小説・物語の本に触れるのも良いことですが、問題演習等を通じ、受験勉強としての国語の解き方を身につけることが大事です。
その他のテーマに関する本
随筆文
随筆文に関しても、難解すぎるものは扱われないでしょう。
エッセイ等にしても、あくまで受験の範囲内でのレベルで出題されるため、高度に専門的な随筆・エッセイとはまた異なります。
また、随筆文の解き方は基本的に説明文・論説文と同じですので、しっかり説明文に慣れを作ればある程度対応できるでしょう。
こちらも、特別に難しい随筆本を読む必要があるわけではなく、受験国語として問題演習等で対応することが大事です。
詩や俳句・短歌
詩や俳句・短歌は中学受験としては少数派のため、どのような本が出題されるか、一概に論じるのは難しいでしょう。
不朽の名作として語られる詩や俳句・短歌が出題される場合もあれば、現代詩などが出題される場合もあります。
ただ、あまりに複雑なものや内容把握の難しいもの、あまりに文学的すぎる作品などは少ないと言えます。
そのため、問題演習を通じて詩の表現技法や俳句・短歌のつくりなどをまずは学習し、そこから対策を進めていくべきでしょう。
何か特別に詩や俳句・短歌に触れておくというより、過去問から傾向をしっかり把握し、その傾向に沿って詩や俳句・短歌の知識をつけて慣れを作ることが大事です。
まとめ
今回は中学受験の国語で出題される文章・本の特徴についてご紹介しました。
国語は説明文と小説文が多く、そのテーマは小学生でも比較的なじみやすいものが多いです。
ただ、あくまで受験問題ですので、誰でも簡単に読める文章とは言えません。
例えば説明文なら、主に新書レベルの内容で、論理展開や筆者の主張を一つ一つ追わなくてはならない構成になっています。
もちろん高度な専門書レベルではないですが、簡単にサラッと読める文章でもありません。
一方、小説文は小学生に共感しやすいテーマも多く、説明文よりなじみやすいと言えます。
ただし、こちらも入試問題として取り組まなければならず、きちんと本文の内容から場面・心情の変化などを正確に把握する必要があります。
また、他にも随筆文が出題されるケースも多いですが、詩や俳句・短歌が出題される学校は少ないです。
このように中学受験の国語は様々なテーマが扱われていますが、重要なことは、あくまで受験の攻略として読解力などを磨くという点です。
本を読めば大丈夫ということではなく、きちんと問題演習などを通じ、受験の傾向に沿って読解力や設問への対応力を磨かなくてはなりません。
出題される文章・本の傾向とともに、この点もしっかりおさえ、日頃の受験勉強に活かしてみてください。