子どもが勉強を自発的に行うには、「勉強=楽しい」という気持ちが大切になります。
一方、勉強を楽しいと思えない子どもは多く、親御さんとしても非常に悩みどころになるかと思います。
「勉強=楽しくないもの」と考える子どもは、勉強をどこか非現実的なもの・身近でないものと捉えており、勉強そのものに強い抵抗感を持っていることが多いです。
しかし、勉強は本来とても身近な存在であり、誰もが気軽に楽しめる要素がたくさんあるのです。
この記事では、勉強を楽しいと思ってもらうために意識しておきたい、勉強を身近な存在にするコツについて塾講師の経験からご紹介していきます。
目次
子どもはなぜ「勉強=楽しくないもの」と思ってしまうの?
勉強を苦手とする子どもは、「勉強=楽しくないもの」と考えているケースが多いです。
子どもであれば尚更、楽しくないものに対する抵抗感は強く、どうしても勉強を「させられている」という感覚になるでしょう。
そして、「させられている」という認識が強ければ強いほど、自ら進んで勉強することは困難になってしまいます。
そのため、子どもが自発的に勉強するようになるには、まず「勉強=楽しくないもの」という認識から変えていく必要があります。
そもそも、勉強というのは本来とても身近なものであり、何かを楽しんで学ぶことは絶対に可能なのです。
以下、順を追ってご説明します。
勉強は本来とても身近なもの
勉強を楽しくないものと感じるのは、勉強をどこか非現実的なもの・身近でないものと考えてしまうことが要因の一つに挙げられます。
身近な存在でないものに対する抵抗感は人間誰しも持っており、特に子どもであれば尚更、身近でないものへの抵抗は強いでしょう。
しかし、勉強というのは日々の生活のあらゆる場面で登場しており、本来とても身近な存在なのです。
特に小学校の勉強は日常に関係するものが非常に多く、算数の数字や国語の文章、理科の現象や社会で扱うテーマなど、ごく身近に存在するものがたくさんあります。
勉強への抵抗をなくすには、まず勉強はとても身近なもので、誰でも普遍的に接することができるという点を知ってもらう必要があります。
決して勉強は非現実的なものではなく、日常的に触れて楽しめる内容がたくさんあるのです。
身近に存在する勉強の例
例えば、数字や文章は日常生活のありとあらゆる場面で登場しており、算数の知識や国語の読解力は日常的に活用しているはずです。
時計から時刻を知ったり時間を計算したりするには算数の知識が必要ですし、本をはじめ文章を読むなら当然読解力を使うことになります。
また、理科で学習する天気や天体、物体の運動、生物などは、身近な存在としてイメージしやすいでしょう。
さらに社会で学習する地理や公民なども、日々のニュースで頻繁に登場する内容が含まれています。
このような具体例を挙げ、「勉強=身近に存在するもの」という感覚を子どもに持ってもらうことが大事です。
子どもの中で「勉強=身近に存在するもの」という感覚が強まれば、勉強に対する抵抗感が薄れ、「勉強=楽しい」と感じて自発的に勉強しやすくなります。
子どもに勉強を楽しいと思ってもらうために!勉強を身近な存在にするコツ
ここまでの話を大前提として、勉強を楽しいと思ってもらうために意識したい、勉強を身近な存在にするコツについてお話ししていきます。
学校で習った勉強を身近な例に当てはめてみよう
繰り返しますが、小学校で習う勉強は身近な生活に関係するものがたくさんあります。
ただ、お子さん一人だと、学校の勉強が身近なものと関連することに気づかない場合が多いです。
ここはしっかりと親御さんがフォローし、まずは学校で習った勉強と身近な例を結びつけ、お子さんに示してあげましょう。
上記で挙げた数字や文章、理科の現象や社会で扱うテーマなど、日々の生活に結びつきやすいものを特に強調すると良いでしょう。
習ったことが現実世界でどのように扱われているのか、親子で一緒に確認してみてください。
勉強したことが現実に登場すると興味関心がわく
勉強した内容が現実世界に登場すると、一気に興味関心がわきます。
これは大人になって経験する機会も多いでしょう。
例えば、旅行をして歴史的建造物を訪れ、そこにある説明書きを読んだとき、「これは以前、歴史で習った内容だ」と気づいて興味を持つことも多いのではないでしょうか。
このように、勉強した内容が現実世界に登場すると、その内容が一気に身近なものとなって興味関心が生まれます。
ただ、子どもの場合だと、学校の勉強と関連していることに気づかない場合も多いのです。
だからこそ、上記で述べたように、親御さんのほうからも学校で習った内容と身近な例を結びつけ、お子さんに気づかせる必要があります。
新聞やニュース記事を少しずつ読ませるのも大切
日々の生活の中で、新聞やニュース記事を少しずつ読ませることも効果的です。
もちろん難しすぎる内容をいきなり読ませる必要はないですが、小学生でも理解しやすい記事はなるべく多く触れておくと良いでしょう。
記事を読む習慣があると、まず読解力が身につきます。
文章を読むという行為が身近になるため、国語の勉強に興味関心が生まれるきっかけにもなるでしょう。
また、社会で登場する公民などは日々のニュース記事と関係する内容が多いため、社会の勉強にもつながります。
もちろん理科で登場する自然現象などがニュースになっていれば、そちらもチェックしてみてください。
このように、勉強と日常生活をつなげるものとして新聞やニュース記事を活用し、勉強した内容が実際の社会でどのように扱われているか確認してみましょう。
「勉強をさせられている」という感覚から抜け出すことが大事
勉強が苦手な子どもは、勉強を「させられている」という感覚が強いです。
特に「勉強=身近でないもの」「勉強=楽しくないもの」と考えている場合、勉強に対する抵抗感は強く、どうしても「させられている」と感じてしまうでしょう。
確かに、子どもの遊びなどと比較すれば勉強を楽しいと思うことは少ないでしょうし、勉強は遊びほど身近な存在とは思えないかもしれません。
ただ、可能な限り勉強を身近に感じ、そこから少しでも興味関心を作っていくことはできるはずです。
そこで「勉強をさせられている」という感覚から抜け出すことができれば、それはつまり勉強を楽しんでいることを意味します。
「させられている勉強」から「楽しんで自ら学ぶ勉強」に変わっていけば、おのずと学力もアップしていくはずです。
「学びたい」という気持ちは必ず存在する
ここで考えてほしいのは、勉強というのは本来、何かを探求して何かを学ぶことであり、これは生きるうえで人がごく自然に行っているという点です。
何も机で行う勉強に限った話ではなく、何かに興味関心を持って学んでいくという勉強の本質は、人間なら知らず知らずのうちに行っているはずなのです。
たとえ勉強嫌いの子どもでも、あらゆることに全く興味関心がないことはありえないでしょう。
机に向かう勉強は「させられている」と感じても、自分が興味関心のある事柄に関しては「自分からもっと知っていこう」という気持ちがあるはずです。
この「自分からもっと知っていこう」という姿勢は勉強において非常に大切になります。
だからこそ、勉強を身近なものにして興味関心を作り、「勉強をさせられている」を「自分からもっと知っていこう」に変えていくことが重要なのです。
どんな子どもでも、「何かを学びたい」という気持ちは存在するはずで、その気持ちが学校の勉強に向くにはどうすべきか?という点を考えなくてはなりません。
そのためにも、再三述べている通り、勉強を身近な存在にする工夫が重要になるのです。
無理やり「勉強=身近なもの」「勉強=楽しいもの」と思わせるのはよくない
一方、ここで注意が必要なのは、無理やり「勉強=身近なもの」「勉強=楽しいもの」と思わせるのは逆効果という点です。
これでは、子どもの中の「勉強をさせられている」という気持ちはあまり変わりません。
例えば、学校で習った勉強を身近な例に当てはめるとき、あまりに関連性の薄い内容を無理やり関連事項として結びつけても、まず子どもは納得しないでしょう。
これでは「勉強=身近に存在するもの」という感覚は生まれず、勉強に対する抵抗感も大して減らず、結果として勉強を楽しいものと思えない状態になってしまいます。
重要なのは、あくまで自然な形で学校の勉強を身近な例に当てはめることです。
関係ない分野を不自然に結びつけるのは逆効果ですので注意しなくてはなりません。
勉強全般に対する興味・関心を高めるには?
勉強が身近な存在になれば興味関心もおのずと生まれやすいですが、そこに加え、さらに興味関心を高めるコツについてもお話ししていきます。
最初は子どもの得意分野から勉強することも大事
勉強への興味関心を高め、楽しんでもらうには、最初は得意分野を中心に勉強したほうが効果的です。
もちろん勉強は得意分野も苦手分野も両方行う必要がありますが、あまりに苦手分野ばかり勉強しても、子どもは楽しめないでしょう。
そもそも苦手分野というのは、その子どもにとって共感しにくく、親しみにくい分野であるはずです。
そんな苦手分野ばかりを勉強しても、まず子どもは楽しいと思えないでしょう。
一方、得意分野であれば、その子どもにとって共感しやすく、身近に感じやすい分野であるはずです。
ならば、最初はその得意分野を中心に勉強し、身近なものとして楽しんで勉強してもらったほうが勉強は継続します。
最終的には苦手分野も含めて勉強をするべきですが、最初はとにかく勉強を継続してもらうことが大事ですので、まずは親しみやすい分野からスタートすると良いでしょう。
勉強は学校の勉強が全てではないという視点も大切
勉強に興味関心を持って楽しんでもらうには、「学校の勉強だけが全てではない」という視点も非常に重要です。
日々の生活で何か気になることがあるとき、何かを調べたいときなど、自分で何か探究してみることも勉強の一つなのです。
そこで何か発見があったり、理解できないことが理解できたりすると、「調べてみてよかった」と思えるでしょう。
学校の勉強も同じで、理解できなかったことが理解できれば「勉強してよかった」と思えるはずです。
このように、勉強というのは自分で何かを探究し、そこから何かを学ぶことを意味します。
こうした勉強のきっかけはありとあらゆるところに転がっており、何も学校の勉強が全てではありません。
繰り返しますが、勉強というのは本来とても身近な存在なのです。
そして、自分の力で何かを探究し続けた成果が現れれば、その過程は絶対に楽しいものになるはずです。
このように、勉強はごく身近なもので、普遍的に楽しめるものだという認識が大切になります。
すぐ調べられるような環境づくりをする
学校の勉強をする際も、あるいは日常生活で何か気になることがあるときも、何かをすぐに調べられる環境というのは非常に重要です。
わからないことを調べて理解できれば勉強は楽しくなりますし、逆にわからないことをわからないままにしておけば勉強は楽しめないでしょう。
辞書やインターネット環境など、学習する際にお子さんが常に使用できるよう、学習環境を整えておくことが大事です。
わからないときにすぐ調べることができないと、時間が経って子どもが飽きてしまうおそれもあります。
これではわからない部分は放置され、子どもの学力にも悪影響を与えてしまいます。
そうならないよう、すぐ調べられるような学習環境づくりはしっかり行うようにしてください。
まとめ
今回は、勉強を楽しいと思ってもらうために意識したい、勉強を身近な存在にするコツについてご紹介していきました。
勉強を非現実的なもの・身近でないものと考えてしまうと、どうしても勉強への抵抗感は強まり、なかなか勉強を楽しむことはできません。
特に勉強が苦手な子どもはこの傾向が強く、「勉強をさせられている」という認識も強いでしょう。
しかし、そもそも勉強というのは元来とても身近なもので、勉強のきっかけは日常生活のあらゆるところに存在しているのです。
「勉強=楽しい」と感じて自発的に勉強するためには、まず「勉強は身近な存在である」という認識を持つことが大事です。
そのためにも、学校で習った勉強を身近な例に当てはめ、学習したことが現実世界でどう扱われているのかチェックしてみましょう。
その際には新聞やニュース記事なども積極的に活用し、文章を読むこと、そして社会で起こっていることに興味を持つことを習慣化すると良いでしょう。
また、勉強への興味関心を強めるには、「学校の勉強だけが全てではない」という点もぜひ意識してみてください。
日常生活でふと疑問に思ったことを調べるのもまた勉強であり、「何かを学びたい」という気持ちは常に大事にしたいところです。
こうした点も踏まえ、勉強を身近に感じ、「させられている勉強」から「楽しんで自ら学ぶ勉強」に変えていきましょう。