中学受験の理科は生物・地学・物理・化学の4分野があり、幅広い知識を覚える必要があります。
一方で、単なる知識の暗記だけでなく、リード文や資料の読み取りなど、より実践的な力も求められます。
中学受験で理科を苦手とするお子さんも多いですが、勉強のポイントとコツさえつかめば、理科を得意科目にすることも十分可能です。
今回は、中学受験で理科を得意にする方法について、塾講師経験から重要なポイントをご紹介していきます。
目次
中学受験の出題傾向に合わせた対策を行う
まず意識していただきたいのは、「理科を得意にする」というより、「中学受験における理科を得意にする」ということです。
中学受験の目的は志望校の合格ですので、あくまで受験の出題傾向に沿った対策をしなくてはなりません。
これは理科に限った話ではなく、国語・算数・社会においても同じです。
例えば、中学受験の理科や社会の問題は、各大問の冒頭にある問題文(リード文)が長い傾向があります。
そして、各設問に正解するには、もちろんリード文の内容を理解しなくてはなりません。
読解力を鍛えることが対策する上でカギになる
例えば実験・観察問題であれば、長めのリード文に実験・観察の過程などが記されているので、その内容をまず把握したうえで、各設問を解いていくという流れになるわけです。
つまり、長めのリード文をしっかり理解する読解力がないと、このような問題形式に対応することができません。
理科の知識だけでなく、リード文を読みこなす読解力も鍛える必要があるということです。
このように、中学受験で出題される理科の形式に合わせ、対策を考える必要があります。
特に近年の中学受験における理科は、単なる知識では対応できない問題が増えています。
これまで以上に出題傾向を意識した対策が必要になるでしょう。
中学受験で理科を得意にする6つのポイント
それでは、中学受験で理科を得意にする方法について具体的にご紹介していきます。
1.知識や計算力を身につけることは大前提
中学受験の傾向に沿った対策というのは、あくまで基本的な力がしっかり備わっていることが大前提です。
基本的な知識や計算力は常日頃から鍛えておき、そのうえで、長いリード文や資料を読み取る力などを養っていく、というイメージです。
決して基礎をおろそかにしていいことにはならないので、必要な知識・計算力を身につけることは大前提と考えておいてください。
知識や計算力は、とにかく繰り返し鍛えることが重要です。
覚えた知識はこまめに確認すること、問題演習をこまめに行って計算力を鍛えておくことなど、コツコツと努力を続けることが一番の近道となります。
2.生物・地学・物理・化学の知識をバランスよく鍛える
理科は生物・地学・物理・化学の4分野からの出題となり、社会が地理・歴史・公民分野からの出題となることに比べ、勉強する分野が広くなります。
理科と社会で覚える量にそこまで大きな違いはありません。
しかし、勉強する分野が広いということは、それだけ知識の整理が難しくなることを意味します。
4分野ともなると、頭の中で知識が混乱してしまうことも多いからです。
そのため、「この知識はこの分野のもの」という整理をしっかり行いましょう。
「今自分はどの分野の勉強をしているのか」という点を常に意識し、混乱しないようにバランスよく鍛えていくことが大切です。
3.分野ごとの特色をおさえた勉強法を意識する
理科の4分野のうち、生物と地学は知識の暗記が多く、物理と化学は暗記に加えて計算が多くなります。
こうした分野ごとの特徴を踏まえ、効率よく勉強を進めることが大切です。
例えば、まず4分野の知識を暗記し、基礎力を固めたうえで、物理と化学をはじめとして計算力を鍛えていくなど、いろいろな方法があります。
特に物理は計算が多いので、基礎知識を身につけたら、とにかく計算の演習を行わなくてはなりません。
一方、化学にも計算はありますが、物理よりは暗記すべき分野が多い傾向があります。
また、生物と地学は暗記が多いですが、特に生物は知識が難解なため、注意が必要です。
このような注意点も踏まえ、得意なものは得意分野として固め、苦手なものは復習を徹底して実力を養っていきましょう。
4.複数の分野が出題される総合問題には注意する
中学受験の理科では、複数の分野が横断的に出題される総合問題もあります。
こうした総合問題形式に対応するためにも、4分野の知識をバランスよく身につけなくてはなりません。
このような形式は、「この設問はあの分野の知識が問われている」「こちらの設問は別の分野の知識が必要だ」といったように、頭の中で各分野をうまく切り替え、解き進める必要があります。
そのためにも、各分野の知識はバランスよく定着させておきましょう。
5.長いリード文に慣れておく
先ほども触れましたが、中学受験の理科では、各大問のリード文が長い傾向があります。
リード文を読むだけでかなりの時間を要することもあるため、注意しなくてはなりません。
このようなリード文の内容を正確に読み取れるようにしましょう。
こうした出題は知識だけでは対応できないので、普段から問題演習を通じて長いリード文に慣れておきましょう。
特に理科の試験時間は、学校によっては30分程度になる場合もあり、時間的な余裕があるとは言えません。
その中で長いリード文を読むことになるので、速く正確に読解する力が必要です。
過去問をはじめ、問題演習を徹底しておくことが必要です。
6.資料などの読み取りも正確に
中学受験の理科では、実験・観察結果などの資料を読み取る力も大切です。
与えられた資料、グラフ・表などを正確に読み取り、それぞれの設問に対応しなければなりません。
こちらも、単なる知識だけでは対応が難しいので、資料が多く登場する問題の演習を重ね、慣れておく必要があります。
リード文や資料の読み取りをするコツ!
リード文や資料を読み取る際には、「問題を解くうえで必要な情報・ヒントを探す」という点を意識してください。
ただ文章や資料を流し読みするのではなく、「どこに注目すればいいのか」を意識し、読み進める必要があります。
リード文には情報やヒントが隠されている
そもそもなぜリード文や資料が存在するかというと、その中に問題に正解するための情報・ヒントが含まれているからです。
いわば、問題を解くための条件がリード文や資料に隠されていることになり、その条件、つまり情報やヒントを、リード文や資料から探し出す必要があるのです。
この点をしっかり意識し、設問で何が問われているか、そのヒントはリード文や資料のどこに隠されているか、正確に読み取ることが大切です。
理科に対する興味を高めることも大切
「理科を得意にする」というより「中学受験における理科を得意にする」ということを冒頭でお話しましたが、もちろん理科そのものに対する興味を高めることも重要です。
そもそも理科に対する興味がなく、漠然とした苦手意識を持ったままでは、理科を得意科目にすることは難しくなります。
そのため、理科と関係のある身近な現象(天気や生物など)に注目させるなどして、なるべく早い段階から理科に興味を持ってもらうことが大切です。
低学年のうちから理科の勉強に通じる現象に興味を持たせておこう
中学受験の勉強を小学校4年生から開始する場合、4年生の頃、あるいはその前から、身近な現象も踏まえて理科に興味を持ってもらいましょう。
5年生からはいよいよ受験勉強も本格化しますが、4年生のうちはまだ比較的余裕があります。
4年生、あるいはその前の段階は、理科そのものに興味を持たせるには最適な時期と言えるでしょう。
理科は単なる暗記ではダメ!
中学受験の理科は単なる暗記ではなく、リード文や資料の読み取りなど、それぞれの出題傾向に沿った対策をしなくてはなりません。
また、知識を覚える際にも、生物・地学・物理・化学の4分野の特徴をおさえたうえで、バランスよく知識を定着させる必要があります。
こうした点を踏まえ、コツコツ勉強を重ねることが、中学受験で理科を得意にする第一歩です。
特にリード文や資料については、それぞれの内容を正確に読み取る力が求められます。
長めのリード文や資料が登場する問題を多く解き、しっかり傾向に慣れておいてください。
「問題を解くうえで必要な情報・ヒントを探す」という点を意識し、設問と照らし合わせ、情報を読み取っていきましょう。
まとめ
今回は、中学受験で理科を得意にする方法について、ポイントをご紹介しました。
あくまで「中学受験の理科」という点を踏まえ、対策をする必要がありますが、理科そのものに対する興味を高めることも大きな意味があります。
なるべく早いうちから理科に興味を持ってもらい、得意科目にするための地盤を固めておきましょう。
そのうえで、4分野の特色や受験問題の傾向に沿った対策を進めてみてください。