中学受験塾の多くは自習室・自習スペースが設置されており、自由に使用することができます。
家で集中できないときなど、自習室を有効活用することで、受験勉強の質を上げることが可能です。
一方、自習室では具体的にどのような勉強をするべきか、デメリットや注意点はあるかなど、自習室を利用するにあたって、気になる親御さんもいらっしゃるかと思います。
ここでは、塾講師の経験から中学受験における塾での自習室の使い方や注意点、メリット・デメリットなどについて解説していきます。
目次
塾の自習室・自習スペースは大いに活用しよう
塾には自習室・自習スペースが設けられており、自由に活用できます。
集中しやすい環境のもと、自分のペースで勉強を進めることができ、受験勉強に大いに役立てることが可能です。
家ではなかなか集中できない子どもでも、自習室になると集中できるというケースも多く、受験生なら使ってみて損はないでしょう。
一方、自習室・自習スペースが子どもの溜まり場のようになってしまうケースも中にはあります。
そうした点も含め、自習室・自習スペースの効果的な使い方やメリット・デメリットなどはしっかり把握しておくことが大事です。
自習室・自習スペースを利用することのメリットと知っておきたいデメリット
まずは塾の自習室・自習スペースのメリットとデメリットについてお話ししていきます。
自習室を利用するメリット
1.自宅とは違う緊張感のある空間で集中できる
自習室・自習スペースの大きなメリットは、自宅とは異なる環境で集中できることにあります。
いくら自習室といっても、塾という空間にあるわけで、自宅とは緊張感が異なります。
その緊張感のある空間で集中して勉強することは、受験勉強として非常に大きな意味があるのです。
そもそも勉強は集中して行なってこそ成果が出るのであり、気が散った状態で長時間勉強しても効果は下がります。
もちろん受験生であれば自宅でもしっかり勉強しなければなりませんが、自宅だとなかなか集中できないという子どもも少なくありません。
そうした子どもの場合、塾の自習室・自習スペースを活用して勉強の質を上げることは非常に大きな意味があるのです。
自分の判断で、自分のペースで勉強できる
当然ながら、自習室・自習スペースでは全て自分のペースで勉強できます。
いろいろな教材・テキストを持ち込み、教科書の熟読、問題演習、暗記、さらには塾の宿題など、自分の判断であらゆる勉強を進めることが可能です。
特に小学校6年生など、ある程度受験勉強に慣れてきた子どもは、自分のペースも大事にしたいと考えるでしょう。
今日は集中して暗記したい、今日は時間を測って問題演習をしたい、といったように、特に集中して取り組みたいときに自習室・自習スペースを活用すると効果的です。
長時間の利用じゃなくてもOK!スキマ時間として有効活用できる
授業が始まる前や、授業と授業の合間、親が迎えに来るまでの間など、スキマ時間に自習室・自習スペースを活用することもできます。
スキマ時間を無駄にすることなく、効率的な自習を進めることができ、非常に有意義です。
自習室というと長時間利用するイメージが強いですが、スキマ時間に活用する方法もあることはぜひ知っておいてください。
わからないところは講師に質問もできる
自習室・自習スペースで勉強している間でも、講師に質問することは可能です。
例えば個別指導塾の自習スペースであれば、すぐ近くで講師が仕事をしていたり待機していたりするので、何か質問があれば聞いてみると良いでしょう。
また、集団塾などの自習室でも、何か質問があれば講師の元まで行って質問することはもちろん可能です。
勉強で疑問が生まれたとき、そのままにしておくのは好ましくありません。
これは自習も例外ではないので、もし何か疑問点や質問があれば、講師に一度聞いてみると良いでしょう。
自習室を利用することのデメリット
自分のペースがかえって逆効果になることも?
自分のペースで集中して勉強できることは、確かに自習室の大きな強みです。
ただ、あまりに自分のペースにこだわりすぎると、自分の好きな勉強しかしなくなるといった弊害もあります。
もちろん自習室のメリットは大きいのですが、自分がやりたい勉強だけやるような事態は好ましくありません。
例えば、苦手分野の勉強はしたくないと考える子どもは多いですが、受験勉強である以上、苦手分野の復習は必要不可欠です。
これを避けて好きな得意分野だけ勉強していると、実力が伸び悩む原因になってしまいます。
自習室では好きな得意分野を、家では苦手分野を勉強するなどのケースもなくはないですが、せっかく自習室のような集中できる環境にあるなら、苦手分野に集中して取り組んだほうが効率的でしょう。
そのため、自習室でどのような勉強をしているのか、親のほうでも適宜確認しておくことをおすすめします。
対策すべき苦手分野の勉強もしているか、もちろん得意分野の勉強もおろそかになっていないかなど、バランスのとれた自習になっているか適宜チェックしてみてください。
自習室が子どもの遊び場のようになってしまう!?
自習室といえども、子どもが集まると遊び場のようになってしまうケースもあります。
自習室に常駐している講師がいれば、子どもがしっかり勉強するよう指導・注意できますが、このあたりの体制は塾によって異なります。
また、個別指導塾などの自習スペースの場合、すぐ近くに講師がいれば指導・注意できますが、その講師も常に手が空いているわけではありません。
そのため、自習室がうるさくなり、かえって集中できなくなったなどのケースも残念ながら見られます。
もちろん塾によって異なりますし、きちんと集中できる環境の自習室も多いですが、残念ながら騒がしくなってしまうケースも一定数存在することは認識しておいたほうが良いでしょう。
自習室ではどのような勉強をすべき?自習室の効果的な使い方と注意しておくべき点
ここまでの話を前提として、以下、自習室の効果的な使い方や注意点などをご紹介していきます。
集中できる環境を最大限に活かす!
自宅より自習室のほうが集中しやすいと感じる子どもは多いです。
この集中できる環境を最大限に活かし、特に集中力を要する分野の勉強を進めてみましょう。
例えば苦手分野の復習、難しい問題演習、複雑な暗記など、他の勉強より集中力が必要なものを自習室で行い、勉強の質を上げることが大切です。
自習室ではあえて苦手分野の勉強を進める
集中できる環境下では、やはり苦手分野の勉強をじっくり進めることが好ましいでしょう。
苦手な科目や分野・単元など、わからなかったところをもう一度集中して勉強してみましょう。
集中して丁寧に進めることで、以前はわからなかったことがすっと頭に入る、そんな経験をする受験生も少なくありません。
理解が進むかどうかは、集中力が大きく関係しています。
だからこそ集中力を発揮しやすい自習室で苦手分野の勉強を進めることに大きな意義があるのです。
試験は時間あとの戦い!時間を測って問題演習に取り組む
集中できる環境であれば、時間を測ってテスト感覚で問題演習をしても良いでしょう。
当然ながら、入試問題は時間との戦いです。
時間配分を常に意識しつつ、スピーディーかつ正確に解き進めなくてはなりません。
だからこそ、集中した環境下で時間を意識しながら問題を解く、という経験をたくさんしておいて損はありません。
これは模試やテストでも経験できますが、自習の問題演習でも経験できることです。
特に集中しやすい自習室なら尚更、時間を測った問題演習を進めてみてください。
複雑な暗記こそスキマ時間に自習室を活用しよう
中学受験は暗記だけで対応できるものではありませんが、基本知識を幅広くおさえることは大前提となります。
そして、分野・単元によっては暗記に手間がかかる場合もあるでしょう。
特に社会や理科は覚えることが多く、理屈抜きで暗記しなければならない用語もたくさんあります。
こうした複雑な暗記も、集中できる環境のもとで行うと効率が上がります。
そこで自習室を活用し、いろいろな分野の用語を集中して覚えていくと良いでしょう。
特に自習室はスキマ時間に活用することもできます。
スキマ時間に短期集中で暗記することは効果が高いので、そのような暗記の一環としても自習室をぜひ使ってみてください。
自習室の使い方で受験生に注意させたい3つのこと
1.うるさいようなら早めに退出する
残念ながら、自習室や自習スペースが騒がしくなってしまうケースも一部見られます。
騒がしい環境で勉強できる場合もありますが、集中できることが自習室の大きなメリットであり、うるさい環境で自習室を使い続けることはあまりメリットがありません。
自習室がうるさいようなら早めに退出し、講師に一度報告してみてください。
その場で状況が改善すればまた利用してみましょう。
ただ、残念ながら、しばらく経ったらまた騒がしくなるというケースもあります。
その場合は再度講師に報告し、相談してみてください。
自習室・自習スペースは本来静かな環境であるべきなので、うるさい場合は遠慮なく講師に報告してかまいません。
また、なるべく静かな時間帯を利用するなど、調整できるところは調整して活用してみると良いでしょう。
2.塾友とお喋りはしないこと
他人がうるさいケースだけでなく、気がついたら自分が塾友とお喋りをしてしまったというケースもあります。
子どもである以上、これはある程度仕方のないことではありますが、やはり自習室は集中できる環境が最大のメリットですので、みんなで集中できる空間を作る必要があります。
塾友と親しく過ごすことも大切ですが、そこはメリハリをしっかりつけ、自習室ではお互いに集中して勉強に取り組みましょう。
うるさくしてしまうと、他人に迷惑がかかるだけでなく、自分自身の勉強効果も薄れてしまいます。
せっかく集中できる環境を活用するのですから、自分の勉強を良質なものにする意味でも、自習室では静かに勉強を進めましょう。
3.あまりに長居すると集中力が切れることもあるので、メリハリをつけて勉強をすること
自習室はスキマ時間を利用する場合のほか、長時間利用することももちろん可能です。
ただ、自習室にあまりに長居すると、集中力が切れることもあります。
これでは自習の意味が薄れてしまうので、長時間の勉強で集中力が切れたときは一度退出し、少しリフレッシュしてみてください。
自習に限らず、勉強はメリハリをもって行うことが大事です。
集中するときはする、休むときは短時間でも休む、といった形で、適宜メリハリをつけて勉強を進めてみましょう。
まとめ
今回は、塾での自習室の使い方についてお話ししていきました。
塾には自習室・自習スペースがあり、自由に使用することができます。
家ではあまり集中できなくても塾の自習室なら集中できる、そんな子どもも多く、集中できる環境が整っていることが自習室・自習スペースの大きな強みです。
苦手分野の勉強をはじめ、特に集中力が必要な勉強を自習室で行うことで、勉強の効率をぐっと上げることができます。
自分のペースで復習や問題演習などを集中して行うことができ、長時間の自習はもちろん、スキマ時間に自習室を利用することも可能です。
一方、自分のペースにこだわりすぎてしまうと、好きな勉強ばかり行うなどの弊害も生まれます。
そのため、親のほうでもお子さんの自習内容を確認し、苦手分野の勉強などもしっかり行っているか、その都度確認してみてください。
また、子どもが自習室に集まると、場合によってはうるさくなってしまうこともあります。
塾友と仲良くなることは悪いことではありませんが、せっかくの自習室ですので、子どもみんなで集中できる環境づくりを心がけなくてはなりません。
また、周りがうるさくなってしまったら、一度講師にしっかり報告しましょう。
このように、自習室・自習スペースは一部デメリットもありますが、集中できる環境が整っているという大きなメリットは確かなものです。
日々の受験勉強を実りあるものにするためにも、ぜひ自習室・自習スペースを有効活用してみてください。