ほとんどの中学受験塾がそうであるように、サピックスも毎月のマンスリーテストや組み分けテストの成績に応じて、クラス分けが実施されます。
サピックスでは、最上位クラスはα(α1、α2と分かれている場合もあります)、αの次はアルファベットの後ろから、H、G、F、E…と続いていき、最下位クラスはAクラス、ということになります。
小学生のうちから自分の成績をランク付けされるシビアな世界に子どもたちは置かれますが、中学受験にはシビアな勉強が必要ですし、自分の立ち位置を認識するためにも、上位でも下位でも前向きに受け入れることも精神力も必要になってきます。
では、A~Cなどの下位クラス、C~アルファベット後半までの中位クラス、そしてアルファベット後半~αの上位クラス、それぞれのクラスのお子さんや親御さんはどういった心構えで、どういった対策を立てれば良いのでしょうか。
我が子はCクラスからスタートし、最終的には「時々αか、αの一つ手前のクラス」で安定して、偏差値60後半の中学校に合格しました。
つまり、我が子は下位、中位、上位すべてを経験しています。
この経験から、サピックスでは各クラスのお子さんがどのくらいのレベルの中学に合格していくのか、また、親御さんの心構えとクラス変動の対策についてお伝えしていきます。
目次
A~Cなど下位クラスの合格目安校!通塾中の親の心構えと対策
下位クラスのサピックス偏差値は、30台~45くらいです。
先に強調しておきたいのは、サピックス下位クラスでも、ほかの塾では中位クラス、学校ではトップクラスに近いレベルだということです。
あくまでもサピックスという超優秀集団の中で下位クラスなだけです。
サピックス下位クラスはサピックス偏差値40前後ですが、この「サピックス偏差値」はサピックスの中だけでの偏差値です。
これに+10を足すと一般偏差値に近くなります。
つまり、サピックス偏差値40前後であっても、全小学生の中では偏差値50程度ということです。
下位クラスの合格目安校は?
一般偏差値50~55くらいの中学校が多いようです。
開智日本橋学園や品川女子学院などに合格されていました。
日程に余裕があるなら、チャレンジ校も必ず受けておきましょう。
サピックスの授業を受けているだけで底力はついているはずなので、難関校の合格のチャンスもゼロではありません。
下位クラスになってしまったら転塾した方がいい?
不安に思われる親御さんもいるかもしれませんが、転塾の必要はありません。
サピックスは確かに最難関中学への合格実績が多い塾ですが、下位クラスのお子さんへのケアが乏しいとか、授業が高難度すぎるということはまったくありません。
サピックスでは、お子さんのレベルに合わせて授業が展開されるので、家庭学習でも難しい問題は無理に解かないよう指導してくれます。
ただ、サピックスの復習中心の勉強方法や、先生と合わないと感じた場合は、無理に続けさせずに転塾という選択肢もあるということを頭の片隅に留めておいてください。
その場合は、なるべく6年生になる前に転塾することをお勧めします。
6年生になるとどの塾もカリキュラムが増えていき、6年生の途中から塾の方針についていくのは大変なものがあります。
下位クラスになったときの心構え
志望校にもよりますが、4年生~5年生半ばであれば、下位でも焦る必要はありません。
塾では同じ内容を繰り返し習いますので、それをいかに頭に定着させていくかがカギです。
算数の「基礎力トレーニング」、理科と社会の「コアプラス」など、基礎となる勉強をしっかりこなし、先生から指示された問題の復習をしておきましょう。
それだけで力は必ずついていきます。
また、マンスリーテストの結果で一喜一憂しないようにしましょう。
5年生半ば~6年生になり、上位校を目指すのであれば、そろそろ焦り始める必要があります。
では、どうやってクラスをあげるために対策を立てれば良いのでしょうか。
下位クラスから抜け出すための対策
最も大切なのは、テストの見直しです。
クラス分けは、マンスリーテストや組み分けテストの結果で決まります。
テストでは、大問や1問ごとに平均正答率が算出されますので、サピックス平均と比べてどの問題ができていないのか分析しながら、テストの見直しをしっかりやりましょう。
お子さんが目指す学校がサピックス偏差値ではどのくらいなのかを確認しておくと、目標が定まります。
しかしいきなり上を目指してもお子さんが潰れてしまいます。
まずは目安として、偏差値50を目指しましょう。
つまり、平均正答率が50%以上の問題を確実に解けるようになることです。
平均正答率が低い難問は、上位校を狙っていない場合、「捨て問題」にしても構いません。
テストを見直し、間違った理由を分析し、その問題の単元が載っているテキストをやり直すことをお勧めします(算数で言えば、難しい問題には★がついていますので、★が少ない問題から解いてみましょう)。
また、類似問題をたくさん解きましょう。
アルファベットD以降、中位クラスの合格目安校!通塾中の親の心構えと対策
中位クラスの合格目安校は?
中位クラス(アルファベットD~アルファベット後半)は、サピックス偏差値45~55のクラスです。
偏差値45~50付近のお子さんの合格校は国府台女子やラサール、東邦大東邦などがあげられます。
偏差値50~55の場合は市川学園や本郷、広尾学園など、東大に毎年20~10名程度を輩出している難関中学への合格者もいます。
つまり、十分難関校を狙える位置にいます。
中位クラスになった時の心構え
超優秀集団であるサピックスの中で偏差値50付近ということは、お子さんはかなり頑張っており、非常に優秀です。
小学校では学年の中でトップに近い位置にいることは間違いありません。
4年生~5年生半ばまでは、まずはその位置を維持しましょう。
志望校が今の偏差値で狙えそうな場合、5年生後半から6年生にかけては、この偏差値以上を維持しつつ、苦手科目の克服に努めましょう。
サピックスでは、6年生後半からSS特訓の単科講座という授業があります。
教科別特訓ですので、ここでしっかりと自分の苦手分野に合った単科を選びましょう。
SS特訓は、成績をぐんと伸ばすチャンスです。
授業を真面目に受け、家に帰ってからしっかり復習。これを繰り返すことが大切です。
中位クラスからクラスアップをするための対策は?
まずはサピックス偏差値55を超えることを目標とすると良いでしょう。
偏差値55を超えれば、早稲田、武蔵、広尾学園、渋谷渋谷、市川などの合格校が射程圏内に入るためです。
なお、偏差値55はざっくり言うと上位30%くらいの位置になります。
そのため、テスト結果の平均正答率30%以上の問題を取りこぼしなく解けるようになること重要です。
平均正答率30%以上の問題で間違ってしまった理由の分析、その単元のテキストの復習などをこつこつこなしていくことが上位への道に繋がります。
アルファベット後半、αなどの上位クラスの合格目安校!通塾中の親の心構えと対策
上位クラスの合格目安校は?
上位クラスはアルファベット後半やαクラス、サピックス偏差値は50後半から60台です。
サピックス偏差値60以上のお子さんは、御三家や渋谷教育学園渋谷・幕張、慶應などに合格実績があります。
このあたりは一般偏差値70以上の、まさに超難関校であり、日本の頭脳集団。
偏差値55~60の場合は、これらの中学校の合格率が少し下がり、海城、早稲田、豊島岡女子、武蔵、広尾学園、市川など一般偏差値60後半~70程度の進むお子さんが増えるようです。
いずれも難関校から超難関校、中学受験の頂点に立つ優秀なお子さんたちのクラスです。
上位クラスの心構えは?
維持がベストですが、サピックスには優秀なお子さんが大勢集まっています。
上位クラスの維持は非常に大変です。
そのため、マンスリーテストの結果で一度中位クラスになってしまっても落ち込まず、その結果を前向きに受け止めて、テストの見直しとテスト範囲のテキストの見直しを淡々と進めておきましょう。
御三家などの超難関校を目指すなら、サピックス偏差値60以上を目指すと良いでしょう。
偏差値60は、ざっくりいうと上位16%です。
つまり、テストの平均正答率16%以上の問題をパーフェクトに解けるようになることが目標になります。
上位クラスにいるということは、相当な力がすでについているはずですが、基礎をおろそかにせず、かつ難問の正答率を上げていくことが重要です。
最後に
サピックス偏差値、一般偏差値、その偏差値が上位何パーセントに相当するのか、また、各クラスの合格中学の目安をまとめました。
サピックス偏差値(クラス) | 一般偏差値 | サピックスの中で上位何%? | 合格中学の目安 |
60以上(上位クラス) | 70以上 | 上位16% | 御三家、渋渋・渋幕、慶應など |
55以上(上~中位クラス) | 65以上 | 上位30% | 早稲田、海城、武蔵、広尾学園、市川など |
50以上(中位クラス) | 60以上 | 上位50% | 東邦大東邦、世田谷学園、城北、芝など |
40以上(下位クラス) | 50以上 | 上位85% | 開智日本橋、品川学園、芝浦工大付属など |
今の成績よりもさらに上を目指すなら、テストの平均正答率が参考になります。
志望校のサピックス偏差値は公表されていますので、自分が目指すサピックス偏差値が上位何%に相当するのかを分析、テストの平均正答率から「取りこぼさない」問題の正答率を高めるようにしましょう。