「勉強ができない」とは子どもに理解力がない、子どもの理解力が低いことを指しているとも言えます。
たしかに何か新しい単元を教えた際、すぐに理解して問題を解ける子もいれば、全く鉛筆が進まない子います。
この問題を解ける理解力が高い子と問題を解けない理解力の低い子の差はどこにあるのでしょうか?
ここでは、塾講師の経験から、理解力の高い子と低い子の特徴、そして理解力を高めるためにすべきことについてお伝えしていきます。
目次
理解力が高い子の特徴
勉強における理解力とは、ある勉強の中において、どの部分が重要かを把握できる力といえます。
つまり、与えられた情報の中から何が重要なのか、どこがポイントなのかを把握できると理解力は高いといえます。
そして理解力が高い子は、重要な部分、基礎の部分について、具体的にイメージできます。
勉強の際にイメージをつかむことが上手なのです。
理解力の高い子がする勉強イメージの掴み方
例えば、速さの問題について学習する場合を考えてみましょう。
速さは「時速4㎞」などのように表現し、ある時間の中でどのくらい進むことができるかを示します。
これが速さの「基礎」の部分です。
ここで、理解力が高い子は速さの「基礎」のイメージをすぐにつかみます。
速さの問題では、「速さ=距離÷時間」「距離=速さ×時間」「時間=距離÷速さ」の3つの公式がありますが、「速さ=距離÷時間」が基本となり、残り2つはこれを変形した形になります。
つまり、速さは距離から時間を割ればいい、という基礎の部分をすぐにイメージし、距離や時間を求める場合も、「速さ=距離÷時間」を応用して解くことができます。
理解力のある子は、
「あくまで自分が勉強するものは『速さ』であり、まずは『速さとは何か』の部分を理解しよう、距離と時間はそこから応用すればいい」
ということを感覚的につかむことができます。
基礎を理解しイメージできるから応用が出来る
理解力がある子は、新しいことを勉強するときに「基礎」の部分がどこかを把握し、理解することができます。
そして基礎を理解できているからこそ、時速を分速にしたり、距離をKmからmに変更したり、時間を分数で考えたりする応用ができるのです。
理解力が低い子の特徴
理解することが苦手な子には、大まかに分けて2つのタイプが見られます。
1つは、全てを頭から覚えようとするタイプの子です。もう1つは感情から勉強するタイプの子です。
丸暗記しようとする子
先ほどの速さを例に挙げます。
速さの3公式を全て暗記しようとする子は、速さとはどんなものかを理解するというより、とりあえず覚えてしまえばいいと考える傾向があります。
記憶力がある子であれば、この方法でも問題を解くときに対処できますが、速さとは何かという基礎の部分は危うくなります。
そうなると、ひっかけ問題や応用問題に対応できないでしょう。
イメージや論理的な考えよりも、感情から入るタイプの子
2つ目の理解力が低い子のタイプは新しい単元・分野を勉強するとき、「なんとなく苦手だな」という感情を持ってしまったり、勉強そのものに対して「嫌だ」という感情を抱いているようなケースです。
勉強を進めている中で、「でも、これはこう思う」という自分の主観が強すぎる子もいます。
そして、基礎の部分とは違う部分にばかり意識が向いてしまい、重要な部分の理解がうまく進められないのです。
このようなタイプの子は、新しいものへの理解も苦手です。
子どもの理解力を高めるために親が出来ることはなに?
では理解力を高めるためにすべきことはなんでしょうか?
理解力を高めるには、基礎の部分のイメージを持たせることが必要です。
そして、基礎の部分は簡単なものからイメージを持たせることができます。
イメージの持たせ方
子どもにイメージを持たせる場合、身近な例、簡単な例を挙げて教えてあげましょう。
先ほどの速さの例であれば、乗り物の速さ、徒競走での速さなど、身近で簡単な例を挙げます。
身近な例をもとに考えると、子どもにとってイメージがつかみやすくなります。
教科書や参考書の例だけではわかりにくいこともあるので、その子にとってなるべくわかりやすいもので説明することが望ましいです。
勉強はただの暗記ではないこと理解させる
勉強をただ覚えるだけと考えてしまうと、子どもは飽きやすくなり、面白くもありません。
一方で、簡単な例からイメージを持たせることができれば、ただ覚えるだけの勉強よりずっと楽しんで勉強することができ、理解力が高まります。
基礎の部分はあくまで基礎なので、難しい例を挙げることは好ましくありません。
むしろ簡単な例からイメージを持たせることができれば、子どもにとってスムーズにイメージが浮かびます。
このことが、最終的に理解力の向上につながり、子どもにとって覚えるだけだった勉強が変わってきます。
理解力が低い子への勉強の教え方のコツ
全て覚えようとしてしまう子
全て覚えようとしてしまう子は、勉強以外のものにイメージを応用することが苦手な場合があります。
教えながら「例えばどんなものがあると思う?」と聞き、勉強を進めると、その子の中で考える習慣がつきます。
最初は「簡単な例でいいから」と付け加えるようにしましょう。
感情から入る子
感情から入る子は「できる」という感情を持たせると一気に理解力が高まります。
そのためにも、身近なものを例に基礎のイメージを膨らませることが効果的です。
「意外と身近なものに例がある」と思い込むことができれば、「できる」という気持ちになりやすいです。
勉強に対して苦手意識を持っている子
勉強に対して苦手意識を持っている子も同じです。
最初はイメージを持つことが難しい場合もあります。
しかし、「できる」と思い込むことでイメージが膨らみ、理解力が高まるケースはよく見られます。
そして、「できる」と思わせるきっかけとしては、やはり身近なものを例に教えることが効果的です。
理解力が低くても勉強ができないというわけではありません!
理解力が低い子もいますが、だからといって勉強ができないというわけではありません。
理解力が低い子でも、長い目で見て基礎をしっかりと定着できる子もいます。
つまり、最終的には理解力が高い子と同じように基礎を理解できていることになります。
ただ、理解力が低いということは人よりも学ぶのに時間は掛かってしまいます。
だからこそ子どもの理解力を高めてあげることは重要です。
イメージから要点を掴み全体を俯瞰する力を身につけることができれば、お子さんの理解力はぐっと高まるはずです。