小学校受験の大きな関門、面接。
「一体どんなことを聞かれるんだろう?」
「うちの子はしっかり答えられるかしら?」
大きなご不安を抱えているご家族もいらっしゃるかと思います。
ですが、心配のあまり模範解答を叩きこんだり、「正解」を求めて対策するのは間違いです。
面接で面接官が見たいのは、
- 日頃の親子のコミュニケーションは良好か
- 親は一貫した教育方針のもと、愛情深く子育てしているか
という部分です。
つまり、ご家庭の普段のご様子が生き生きと伝わればOKなのです。
無理に「いい子」「いい親」を演じようとしても、面接官は長年たくさんのお子様と親御様を見てきていますから、必ずわかります。
ご自身のご家庭の温かさに自信を持って、落ち着いて臨めるよう対策されれば十分です。
幼児教室の講師経験から、この記事では小学校受験の面接で聞かれやすい具体的な質問を取り上げながら、ご家庭ではどのような対策をすればよいかをご紹介します。
目次
小学校受験での面接とは
まず前提として、お子様に対する質問は、お子様が自力で最後まで答えられるレベルのものです。
面接官は意地悪ではありませんから、お子様が答えられないような難しい質問を投げかけることはありません。
まさに、「お子様への質問」という形で、総合的な「日頃の親子のコミュニケーション」が問われているといえます。
ですから、もちろん本番の緊張を和らげるための模擬練習は必要ですが、答える内容を教え込むことは不要です。
答えの材料となる情報が日頃の会話の中で自然と頭に入るよう、豊かな会話を心がけるのが第一の対策となります。
それでは、具体的な質問例を4つ取り上げ、対策としてできることをご紹介します。
子供がよく聞かれる4つの質問と対策
よくある質問①「生年月日を教えてください」
「生年月日」という言葉が耳慣れず、誕生日だけ答えてしまうとしたら、面接官は「会話が無い家庭なのかもしれない」と受け取ります。
普段から様々な語彙を学習できるように、とにかく会話をしましょう。
ご家族とお子様の間に絵本やテレビなどを挟んで、話題を広げるのも良いでしょう。
特にテレビはうまく使えば、幅広いジャンルの語彙を一気に増やす優れたツールとなります。
よくある質問②「住所を教えてください」
この類の質問では、記憶力の良し悪しを判断しているわけではありません。
緊急時に必要となる情報を、最低限覚えているかどうかを確認しているのです。
ですから、このような基本情報を把握できていない場合、「緊急時の対策が普段から意識されていない=ご両親はお子様への関心が薄い」という印象に繋がってしまいます。
晴れて小学校受験に合格し入学するとなれば、一般的には一人での登下校が待っています。
住所だけでなく緊急連絡先の電話番号など、安全上必要な情報は繰り返しご家族で共有するようにしましょう。
よくある質問③「お母さん(お父さん)に叱られるときはどんなときですか」
これはお子様ではなくご両親にとって、非常に難しい質問です。
ご両親の一貫した教育姿勢が問われています。
お子様は最近の記憶からお話しするかもしれませんし、一番印象的だったエピソードをお話しするかもしれません。
ここで出てくるエピソードが、あまり望ましくない叱り方、たとえば親の都合を押し付けるような叱り方だった場合、はっきり言って面接官に与える印象は良くありません。
決して日頃の教育は面接対策のために行うわけではありませんが、「この類の質問への対策」という観点でアドバイスするとすれば、「ご両親どうしでこまめに教育方針を話し合い、確かめ合い、協力し、叱る際には徹底してお子様を一人の人間として尊重した叱り方をするのが最も理想的」です。
よくある質問④「志望動機」
実は、お子様ご自身へ志望動機のような質問をすることもよく行われます。
ご両親に聞くだけでは判断しづらい「本音」を引き出そうとする意図があります。
なぜこの小学校に来たいのか、楽しみにしていることは何か、この小学校のことを知っているかなど、お子様の意欲や意思を確かめたいのです。
「小学校受験は親の受験」とはよく言ったものですが、合格した暁にその小学校に通学するのはお子様です。
あくまでも、受験の主体はお子様ご自身であってほしいのです。
この手の質問をされても堂々と答えられるくらい、親子一緒に受験に向かう姿勢を大切にしたいものです。
親への質問とその対策
ご両親に向けた質問への一番の対策となるのは、「ご両親のあいだの温度差・認識・教育方針の食い違いを解消しておくこと」です。
常日頃、お子様とのコミュニケーションはもちろんのこと、ご両親同士もコミュニケーションを密に取り、お子様についてのこと、教育方針のこと、受験校のことなど、細部まで共有しておくのが理想です。
それでは、ご両親向けには、必ず聞かれる2種類の質問と対策をご紹介します。
よくある質問①「志望動機」
ほぼ間違いなく聞かれる内容です。
面接官は手元の願書と照らし合わせながらこの質問への回答に耳を傾けます。
基本的なことですが、願書に何を書いたかはしっかり控えを取り、確実に記憶しておきましょう。
丸覚えして話すためではありません。
面接での発言と願書の理由なき矛盾が生じることを防ぐためです。
枠に限りのある願書に書けなかったことを補完しながら話しましょう。
よくある質問②「家庭の教育方針」
具体的な聞き方は
- 「お子様に望むことは?」
- 「平日/休日の過ごし方は?」
- 「お子様へのお声がけで気を付けていることは?」
などバリエーション豊富ですが、これらすべては「家庭の教育方針(とその実践)」に関する質問です。
面接官は
- 学校の方針とご家庭の方針に通ずる部分があるかどうか
- 本当に学校の方針を理解したうえで受験しに来ているかどうか
- 普段から子どもに対して理性的かつ愛情深く接している=信頼できるご両親か
ということをここでしっかり確認したいと考えています。
小学校受験の場合、エスカレーター式の学校も多いです。
そうでなくとも、最短6年間という長い期間のお付き合いになります。
入学後「こんなはずではなかった!」という事態が起きないよう、学校側も細心の注意を払いたいのです。
お母様お父様のどちらがどんなふうに聞かれても困らず答えられるよう、お子様について語り合い、お互いを理解しあう機会を頻繁に持つようにしましょう。
忙しい現代社会ではありますが、ここはどうにか時間を見つけていただきたいと思います。
日頃のコミュニケーションと一貫した教育方針が重要!
小学校受験の面接対策について、お子様、ご両親それぞれへの具体的な質問例も取り上げてご説明してきました。
どのご家庭も例外なく、毎日愛情を持って子育てに臨んでいらっしゃることと思います。
でも、面接という場ではどうしても、回答を通して「差」をつけられ、判断されてしまいます。
反対に言えば、その回答から良好な家族関係と、理性的で愛情深い教育方針が存分に伝われば、面接は大成功です。
面接への不安が取り除かれるくらいに沢山、家族間で密なコミュニケーションを取っていきましょう。
それこそが、小学校受験における最良の面接対策となります。