小学校受験では、学校によってさまざまな試験形式が採用されていますが、中でも代表的なものが「ペーパーテスト」です。
ペーパーテストの頻出分野は大体の学校で共通していますので、幼児教室や塾に通う前から、対策をスタートすることができます。
ここでは、ご家庭で今日からでも始められる手軽なトレーニング方法を幼児教室の講師経験からご紹介します。
目次
ペーパーテストに出題される4分野
基本的に、ご家族がお子様の気持ちに寄り添い、お子様に「教える」のではなく「一緒に考える」という姿勢で、にこやかに進めてゆくことが鍵となります。
ペーパーテストに頻出する分野には、
- お話の記憶
- 数・量
- 図形
- 一般常識
といったものがあげられます。
それでは、分野別に見ていきましょう。
「お話の記憶」の対策方法
「お話の記憶」は、その名の通り、聞いたお話の理解を問うものです。
問題文となるお話は、試験担当者が口頭で話したり、録音を流したりします。
お話の長さは数十秒~数分にものぼります。
長いお話をはじめから終わりまでもらさずに聞き、細かい部分まで覚えて回答しなければなりませんので、一筋縄ではいかない場合も多いです。
早いうちから、意識的にトレーニングしていくのがよいでしょう。
たとえば、こんな問題文が読まれたとします。
「○○くんの幼稚園では、つぎの×曜日に遠足があります。遠足の日の持ち物は、お弁当と☆と♪です。でも、もし朝から雨が降っていたら、☆と♪は持ってこないで、△と□を持ってくることになっています。…(中略)…×曜日は朝から晴れていました。○○くんのお母さんは、お弁当に卵焼きとたこさんウインナーを詰めて、持たせてくれました。…(中略)…お隣に座った◇◇ちゃんのお弁当は、おいしそうなサンドイッチでした。みんなで輪になって、楽しくお弁当を食べました。」
すると、
「遠足の日に持ってくるものの絵に○を、雨の日に持ってくるものの絵に×をつけてください」
「○○くんのお弁当に入っていなかったものの絵に×をつけてください」
などといった問いが続きます。
お話の内容が分岐を含んでいたり、まぎらわしい情報がいくつもあったりするので、おおざっぱに聞いているだけでは難しいです。
絵本などを読み聞かせる際、必ず「質問」を加えましょう
たとえば桃太郎の絵本を読んだなら、「おじいさんは、最初どこへ行ったんだっけ?」、「動物たちはどんな順番で仲間になったんだっけ?」とお子様に問います。
最初は1ページごとにクイズを出し、集中して耳を傾けることを促します。
慣れてきたら3ページごと、4ページごと……とクイズを出す間隔を広げてゆき、最後は1冊まるまる集中して聞くことを目指します。
気を付けたいのは、お子様の記憶力は大人の想像以上に発達している、という点です。
同じお話やクイズは繰り返すとすぐに覚えてしまうので、できるだけ毎日違うお話を用意しましょう。
読み聞かせ用に、数分のお話を多数収録した書籍なども市販されていますので、ぜひ活用してみてください。
「数・量」の対策方法
数の分野は、出題率がたいへん高いながらも、苦戦されるお子様が多い分野です。
たとえば、
- みかんが7個、りんごが8個並んでいる絵を比べ、多い方に○をつける
- 三種類のものの重さをシーソーで比べた絵を見て、一番重いものを選ぶ
などといった問題が出題されます。また、1桁の足し算引き算も出てきます。
数の感覚は、同じ形の積み木やおはじきなど、目に見える実数を用意し、遊びながら養いましょう。
数比べをするときは「3個」から始めると分かりやすい!
全く初めて取り組む場合は数のまとまりとして認識しやすい「3個」から始めるのがおすすめです。
3個の積み木、3個のおはじきを並べ、どっちも3で同じだね、と数比べします。
そこから増やしたり減らしたり、比べる数に差をつけたりして展開していきましょう。
量は身近にあるもので感覚を結びつけましょう
量の感覚はコップと水を使うのが手軽です。同じ形のコップに違う量の水を注ぎ、多い順や少ない順に並べてみるところからスタートしましょう。
シーソーで実際に重さ比べができる知育玩具などを導入するのもいいでしょう。根気よく、感覚と実際の数や量を結びつけてゆくことが肝心です。
数と量の取り扱いは、大人にとって既に「当然できること」であるがゆえに、お子様の理解を待つことが出来ず、お子様ご自身やご家族が苦手意識を持ってしまう場合が多々見受けられます。
お子様の脳内では今、数や量の概念を必死に形成しています。
必ずいつか完成する時が来ますので、じっくり向き合いましょう。
「図形」の対策方法
図形の問題は、注意力や推理力を求められるものが多く、その分対策すればするほど力がつきます。
たとえば、
- ある図形が示され、それを回転させたときどう見えるか選択肢から選ぶ
- 2つの図形が示され、それを重ねたらどんな図形になるか選択肢から選ぶ
というような問題が出題されます。
図形を得意にするためにはパズルや積み木などの遊びをたくさんしましょう
図形問題を解くための基礎づくりには、パズル遊びや積み木遊び、折り紙遊び、お絵描き遊び、工作遊びなどから、お子様が興味を持つ遊びをできる限りたくさんしましょう。
さまざまな角度から図形を眺め、自分の手を使い、自分の頭で考えながらいじくる経験の中で、感覚が磨かれ、論理が組み立てられていきます。
図形も数と同様、苦手意識を持ったり「うちの子は興味が無い」と決めつけたりせず、お子様の今の発達段階や今の気持ちに寄り添って、一緒に遊びを楽しみましょう。
「一般常識」の対策方法
一般常識の分野では、たとえば
- ある花の絵を示され、同じ季節に咲く花を選択肢から選ぶ
- ある哺乳類の絵を示され、鳥類、両生類、哺乳類の絵が並ぶ中から哺乳類(仲間)のみ選ぶ
といった問題が出題されます。
この分野は、普段のご家庭での豊かな対話で対策することができます。
対策の成果が出やすく、差がつきにくい分野ですので、確実に準備して臨みたいところです。
日常の生活、会話を意識することが大切
語彙や知識の幅を広げるためには、図鑑や絵本はもちろん、テレビもゲームも普段のお散歩やお買い物も素晴らしい教材になります。
ご家族で会話をしながら、全力でそれらを楽しめば良いのです。楽しいことに紐づいた記憶は引き出しやすく、長持ちします。
日常を会話で彩りましょう。
最後に
ご家庭ですぐにできる、小学校受験のペーパーテスト対策方法を分野別にご紹介しました。
ぜひ、一つでもかまいませんので、今日から実践してみてください。皆様のご努力が、どうか素晴らしい形で実りますように。