中学受験は受験勉強だけでなく、入試本番で実力を発揮するためにはどうするか?少しでも多く得点を稼ぐにはどうすべきか?など、入試当日の心構えも非常に大切です。
勉強で実力を鍛えるのはもちろんですが、その実力を本番でフル活用するための心構えはしっかり考えなくてはなりません。
また、遅刻や体調悪化など、何か不測の事態が発生したときでも冷静に対処しなくてはならず、入試日に注意すべきことはたくさんあります。
この記事では、塾講師の経験から、中学受験の入試当日に意識すべきことについて、様々な角度からポイントをご紹介していきます。
入試当日のイメージをしておくと本番も慌てずに対処できることがたくさんあるはずです。
目次
入試本番で実力を発揮するためには?
中学受験で意外に盲点なのが、「入試当日に何を注意すれば良いか?」という点です。
入試というと受験勉強ばかりに意識が向きがちですが、肝心なのは入試本番できちんと実力を発揮できるかどうかです。
せっかく勉強によって実力を磨いたとしても、何らかの要因で本番で実力を出し切れなければ、合格を勝ち取ることは難しいでしょう。
例えば問題指定を読み間違えたり、ケアレスミスを繰り返したり、時間配分で失敗したりすれば、せっかく実力があっても合格点を確保することは困難です。
また、本番で過度に緊張してしまえば、本来の実力を出し切れない可能性もあります。
このように、入試というのは受験勉強だけでなく、「入試当日に実力を発揮するために何を注意すれば良いか?」という点まで考えておく必要があるのです。
当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、勉強に加え、入試当日の心構えもしっかり意識しなくてはなりません。
イレギュラーなケースへの対処法を考えておきましょう
当然ながら、入試本番というのは何が起こるかわかりません。
例えば何らかの要因で入試に遅刻しそうになったり、本番でいきなり体調が悪くなったりなど、予想外のトラブルが発生することもあるのです。
そのため、こうしたイレギュラーなケースも含めて対処法を考えておくと良いでしょう。
いざ入試当日にトラブルが発生しても冷静に対処できるよう、あらかじめ不測の事態への対応策をシミュレーションしておいて損はありません。
これらの点も含め、「入試当日に何を注意すれば良いか?」について、以下、ポイントを整理していきます。
合格にむけて!入試本番で受験生が必ず意識しておくべき4つの心構え
1.とにかく空欄を作らない
入試には記号問題や記述問題などの様々な設問形式がありますが、どのような設問であれ、とにかく空欄を作らないことを強く意識しましょう。
例えば記号の選択肢問題であれば、問題がわからなくてもどれか一つ記号を書けば正解できる可能性があるのです。
また、残りの試験時間が少なく、問題を読む時間がなかったとしても、記号問題であればどれか一つ記号を書けば正解できる可能性はあります。
運の問題ではありますが、それでも書かないよりはマシで、少しでも正解できる可能性があるなら絶対に解答すべきです。
また、記述式の問題であれば、途中点・部分点を稼げる可能性があります。
例えば算数では途中式や考え方を書かせる問題があり、もし解答を間違えたとしても途中式・考え方が合っていればそこで点数がもらえる可能性があるのです。
わからないからといって空欄にせず、とにかく計算式や考え方を書いてみることが、少しでも点数を獲得するチャンスにつながるわけです。
このように、どんな問題であれ、とにかく空欄を作らないという意識を強く持つようにしましょう。
解答を空欄にしてしまう受験生は意外にいる!?
「空欄を作らない」と言うと当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、問題がわからないときに解答を空欄にしてしまう受験生は意外に見られます。
本番の緊張も相まってか、わからなくなって萎縮してしまい、ついつい空欄を作ってしまうのです。
また、試験時間が残りわずかになったとき、諦めて記号問題を空欄のままにしてしまう受験生も見られ、これではせっかくの得点のチャンスが無駄になってしまいます。
もちろん、普段の勉強によって苦手分野を減らしておくことは大前提ですし、時間配分に注意して間に合うように解くことも大前提なのですが、本番でわからなくなってしまったり、時間配分をミスして解き終わりそうにないこともあります。
このようなときでも、とにかく空欄を作らず、少しでも得点のチャンスを広げるという考え方が重要になるのです。
必要な実力を身につけること、そして時間配分に注意することを大前提としつつ、本番で空欄を作らないという意識はしっかり持っておきましょう。
途中点・部分点はしっかり狙うべし!
先ほど少し触れた途中点・部分点について、もう少し詳しく解説します。
記述問題というと国語のイメージがありますが、算数でも問題によっては途中式や考え方を書かせる設問があります。
これは、解答にいたる計算式や考え方・解法プロセスを記述する形になり、そこで途中点・部分点をもらえる可能性があるのです。
たとえ計算ミスで解答を間違えたとしても、その計算式や考え方を正しく記述していれば、そこが部分点という形で評価されるわけです。
解答だけを書かせる問題の場合、当然ながら解答を誤れば得点にはなりません。
一方で、途中式・考え方を書かせる問題であれば、たとえ解答を間違えても部分点で得点を稼ぐチャンスがあり、ここは絶対に空欄にしないでおきたいところです。
もちろん学校によっては算数で記述式の問題が一切ない場合もありますので、事前に過去問を細かくチェックしておく必要があります。
そのうえで、志望校・併願校で記述式の問題が多い場合は特に注意し、日頃から記述問題を決して空欄にせず、たとえ少しでも記述する癖をつけておきましょう。
2.時間配分は常に注意すべき
一問に時間をかけすぎないこと!
入試は時間との戦いでもあります。
そのために時間配分は常に意識しなければならず、一問に時間をかけすぎて他の問題を解く時間がなくなってしまったなどの事態は避けなくてはなりません。
特にありがちなのが、難問に時間をかけすぎて時間の余裕がなくなり、本来解けるはずの簡単な問題が解けなくなってしまったというケースです。
特に、時間をかけても結局難問は解けず、そのせいで簡単な問題まで解けなかったというケースは一番もったいないです。
時間配分で失敗さえしなければ、簡単な問題でもっと得点できたはずであり、こうした事態は絶対に避けなくてはなりません。
解けそうな問題から進めていく
入試においては、解けそうな問題から進めていくという心構えも大切です。
何も1問目から全て順番に解くというルールはないので、解答できそうにない問題が登場したらとりあえず後回しにし、まず解ける問題から片付けていくという意識が重要になります。
時間内になるべく多くの得点を稼ぐことに焦点を置くようにしましょう。
であれば、すぐに解けそうにない問題に時間をかけるより、まずは確実に解答できるものから着々と得点を重ねていく必要があります。
一問に注目しすぎず、試験問題全体を見て、解けそうな問題から片付けるという意識を常に持っておきましょう。
こうした時間配分の感覚は、問題演習はもちろん、過去問演習を通じてしっかり身につけておく必要があります。
3.ケアレスミスは絶対に避ける!
入試本番で一番避けたいのは、なんといってもケアレスミスです。
ケアレスミスというのは、注意深く解けば絶対に防げるものだからです。
実力が不十分だから解けないのではなく、実力はあるのに不注意によって間違えてしまう、そんなケアレスミスは何としても避けたいところです。
特に算数はケアレスミスが発生しやすい科目でもあるので十分注意してください。
計算ミスはないか、単位などを間違えていないか、転記ミスはないか、問題指定はしっかり守っているか、問題を正しく読解できているかなど、入試本番で特に意識する必要があります。
また、本番でケアレスミスをしないためにも、日頃の問題演習を通じて注意深く解く習慣を身につけておきましょう。
ケアレスミスは一朝一夕で減るものではなく、普段からミスをしないという意識を強く持ち、トレーニングを重ねる必要があります。
何気ない勉強でも本番を意識し、良い意味で緊張感を持って注意深く解く習慣をつけると、ケアレスミスは自ずと減っていくはずです。
4.解答はきちんと丁寧に書く
当然の話に聞こえるかもしれませんが、答案用紙は丁寧に書くことを常に意識しましょう。
せっかく正しい解答を出したのに、字が汚くて誤答と判断されるのは非常にもったいないです。
特に入試本番は焦りやすく、速く解こうとして字が汚くなる傾向も少なくありません。
もちろん素早く解答することは大切ですが、その解答は丁寧に書くことが大前提となるので十分注意してください。
また、このように素早く丁寧に書くスキルというのは、日頃の問題演習でしっかり身につけておくことが大事です。
こちらも一朝一夕で身につくわけではないので、普段の問題演習でスピーディーかつ丁寧に書くトレーニングを重ねましょう。
入試当日のイレギュラーな事態!トラブルが発生した時の対処法
冒頭で述べた通り、入試本番でイレギュラーな事態が発生したときも、とにかく冷静に対処する必要があります。
例えば、何らかの理由で入試に遅刻しそうになったり、本番で体調が悪くなったりなど、不測の事態が発生したときにどう対応するか?を事前に考えておくと、いざ本番でトラブルが発生したときにも冷静に対処することができます。
入試に遅刻しそうになった場合
電車などの交通機関は、事故や天候などで遅延が発生することもあります。
いくら早く家を出て時間的な余裕を持たせたとしても、それでも交通機関の関係で遅刻しそうになる可能性はあるのです。
この場合、ひとまず学校に連絡し、氏名や受験番号、交通機関の遅延状況など、聞かれた内容をきちんと説明するようにしましょう。
受験生と関係のないトラブルによって遅刻しそうになった場合、学校のほうでもある程度対応してくれるはずです。
別室で受験する形になったり、試験時間をずらしたりなど、その時々の状況に沿って何らかの対応があるはずなので、まずは学校に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。
遅刻しそうになったからといって受験が全て終わりになるわけではないので、まずは冷静に考える必要があります。
本番で突然体調が悪くなった場合
入試本番で突然体調が悪くなることもあります。
多少の腹痛など、軽い体調不良であればそのまま我慢して受験することもできますが、受験の続行が難しい程度に体調不良が発生した場合、とりあえず手を挙げて試験監督・試験官に伝えましょう。
本番というのは何が起こるかわかりません。
試験の続行が難しいくらい体調が悪化した場合、そこで無理をするのは危険です。
別室で受験可能な場合もありますので、やむを得ず受験の続行が難しい場合はきちんと伝えるようにしましょう。
本番で緊張を和らげるために親がしてあげられることは?
緊張も含め「〜してはいけない」という考えはしないようにしよう
入試本番で実力をきちんと発揮するためにも、やはり緊張はなるべく減らしてあげたいところです。
一方で、「絶対に緊張してはいけない」と思いすぎると、かえって緊張は解けにくくなります。
「~してはいけない」という考え方はプレッシャーになり、入試本番という緊張状態なら尚更、余計にプレッシャーが重なることになりかねません。
そこで、「絶対に緊張してはいけない」ではなく、「なるべく緊張を和らげる」という考え方で試験に臨めるようサポートしてあげましょう。
「少しくらいなら緊張しても良い」くらいに考えたほうが、結果的にリラックスできます。
人間である以上、重要な局面で緊張してしまうのはごく自然なことです。
緊張は自然なことと捉えたうえで、その緊張をなるべく抑えるという方向で見守ってあげ
今までの努力を振り返り、自信を持たせてあげましょう!
緊張を和らげるには、今までやってきたことを思い返し、自信を持つことが何より大切です。
「これだけ努力したんだから大丈夫、落ち着いて解けばいい」と考え、堂々と試験に臨みましょう。
目の前のことに集中して解き進めていくと、自ずとスイッチが入り、緊張も和らいでいくはずです。
これまでの努力を信じ、リラックスした気持ちで臨んでみてください。
まとめ
今回は、中学受験の入試当日に意識しておくべきことについてご紹介しました。
中学受験というのは受験勉強だけでなく、入試本番でしっかり実力を出し切り、少しでも多く得点を稼ぐにはどうすれば良いか?を考えなくてはなりません。
とにかく解答に空欄を作らない、時間配分は常に注意、ケアレスミスは絶対に避ける、解答は丁寧に書くなど、本番での心構えをきちんと意識しましょう。
このような心構えは普段の勉強でも考えておくべきであり、日頃から本番を意識してトレーニングをすることが大事です。
また、入試当日にイレギュラーな事態が発生する可能性もあります。
やむを得ず遅刻しそうになったら学校に連絡をして指示を仰ぐ、本番で体調が悪化して試験の続行が難しくなったら無理せず試験官に伝えるなど、あらかじめ対処法を考えておきましょう。
さらに、受験生である以上、本番で緊張してしまうのは仕方のないことです。
「絶対に緊張してはいけない」と考えすぎるとかえって逆効果ですので、「なるべく緊張を和らげる」と考え、これまでやってきた勉強を思い返して自信を持ち、リラックスして本番に臨みましょう。
このような点も含め、入試当日にどんなことを注意すれば良いか、なるべく早い段階から意識しておいてください。