子どもは1番になることが、幼少期は大好きだったりします。
園庭から教室に戻るのが1番、給食食べ終わるのが1番、かけっこが1番、とにかく何でも1番になることが嬉しそうな様子の子どもたちを見ていると、とてもかわいらしく、温かな気持ちにさせてくれます。
しかし、いつの頃からかその1番に対する考え方は変わってきてしまいました。
有名な歌の歌詞にもありますね、“No,1にならなくてもいい”“特別なオンリー1”。
果たして順位づけっていいことなのでしょうか?それとも良くないのでしょうか?
子ども達と関わってきた教員経験から今回は順位づけに着目し、親が幼少期から気にかけておくべき、競争心について考えていきたいと思います。
目次
競争心がない子どもは増えている?
個人的にはこの社会は競争社会であると考えています。
大人になって仕事をすれば、嫌でも常に“評価”とともに生きていかなければいけなくなります。
では、いきなり社会に出て“評価”が付き、その評価が良くなかったらどうなるでしょうか。
答えは明白かと思います。
今まで“ダメ”と言われたことがないのに、“ダメ”と言われたら精神的なダメージが大きいでしょう。
だからこそ、小さな頃から挫折や劣等感を味わうことも大切だ、と考えています。
ただ、子どもの挫折している姿を見るのは、親としてはつらいところもあるのではないでしょうか。
実際、教員をしていて1番などの順位にこだわりを持たない家庭は多い、というのは感じます。
1番になることよりも、周りの友だちと仲良くすることや、最低限の勉強ができていれば良いと考えている親御さんも多いのです。
そのような考えのご家庭が多いので、たしかに競争心のない子どもは増えているのかもしれません。
競争心は必要?必要ではない?
しかし、一方で子どもがあまりに順位や勝ち負けにこだわりを持たないことに心配される親御さんもいらっしゃいます。
結論から言えば、競争心がないからと言って心配したりする必要はないかと思います。
競争心には、もともとの性格や育った環境も大きく影響します。
心が優しく、おっとりしたタイプの子であると、積極的に“1番になろう”、とはなかなかならないものです。
しかし、そのようなタイプの子でも、自分の好きなことや自分の得意なことを見つけたときは、誰にも負けたくない、という気持ちが芽生えてくるでしょう。
その“何か”を見つけることが大切なので、無理に競争心をあおることは必要ないでしょう。
子どもの競争心を芽生えさせるお手伝いをしよう!競争心が高まる3つのこと
でも、やっぱり競争心を持ち、切磋琢磨頑張って欲しいと考えるならば、次のような方法で競争心を高めてみてはどうでしょうか。
好きなことを見つけるお手伝い
先ほども述べましたが、やはり自分の“これだけは”というものを見つけられることがまず大切です。
そのために、お子さんの“これ”を見つけるお手伝いをしてあげましょう。
勉強が得意な子なら勉強面で、運動が得意な子なら運動面で、芸術系が得意なら芸術面で、とその子に合う分野をまずは見つけてあげましょう。
親が望んでも、子どもの興味がないものだったら、それで競争心を持つのはなかなか難しいと思います。
1番近くにいる親だからこそ、子どもの“好き”が見えてくると思いますので、親が勝手に決めつけず、まずはいろいろなことにチャレンジできる機会を作ってあげましょう。
目標設定のお手伝い
子どもが好きなことを見つけられたら、それで親の役目は終わりというわけではありません。
自分の好きなことであっても、“できないこと”にぶつかるとあきらめてしまうことはよくあることです。
その“できないこと”にぶつかってしまったときに、どう乗り越えたらよいか、を教えてあげることが大切です。
そして、乗り越えられたら褒めてあげましょう。
褒められて嫌な気持ちになる子はいません。
乗り越えられた喜びは、“自分にもできるんだ”という気持ちを生み、結果的に“負けたくない”という気持ちを育てていくことに繋がります。
ポジティブになれるお手伝い
マイナス思考の子どもたちは、「できない」や「無理」といった言葉で何かを投げ出してしまうこともあります。
あまりに失敗や挫折を繰り返してしまうと、“自分は何をしてもだめなんだ”という思考に凝り固まってしまいます。
初めからやらなければ、競争心はそもそも育ちません。
まずは競争ラインに立つことが出来る様に、声掛けをしてみましょう。
「一緒にやってみようよ」と声をかけるのも良いかもしれません。
競争相手は過去の自分
今の日本の教育現場ではどちらかと言えば、“みんな一緒がいいね“と周りと比べるのではなく、”自分がどれだけがんばったか”ということが大切にされています。
それは1人の人間を認めるという意味ではもちろん悪いことではありません。
しかし、自分を高めていくためにも“競争心”は大切です。
ただ、子どもの周囲にいる大人があまりに競争心をあおりすぎてしまうと、自分と周りの子の争いになり、自分が勝てばその子をけなしたり、見下したりしてしまう可能性があります。
「○○ちゃんに勝ちたい」という気持ちも悪いことではありませんが、それよりも「○○ができるようになりたい」とできない自分との戦いになると良いのではないでしょうか。
そのためには、子どもの周りの養育者たちが、適切な言葉がけと行動を促してあげることが大切です。
どんなに頑張っても失敗してしまうことだってあります。
そんな時、近くで一緒に頑張ってあげられるのも、親ができることです。
成功体験を積み重ね、自信が付けば、「もっとがんばりたい」という競争心も高まっていくでしょう。