中学受験に臨むお子さんが塾に入るのは、多くが小学校4年生の時からです。
そこからはとにかく塾の内容をしっかりこなしていけば、能力が向上していくように塾のカリキュラムが構成されています。
ただ、1教科だけ、小学校と塾の勉強だけでは能力を伸ばしきれない教科があります。
それが、国語です。
国語の力は、それまでにお子さんが経験してきた読書の質や量によって変わります。
比例するとまでは言いませんが、やはり国語のできるお子さんは幼い頃から読書をしています。
それでは、幼い頃からどういう本を読んでいけば国語力が伸ばせるのでしょうか。
目次
幼児期にオススメの絵本
小学生になったら絵本を読む機会はなくなるので、名作と言われる絵本はこの時期に親子でたくさん読んでおくといいですね。
読んでおきたい有名どころの絵本をあげておきます。
- はらぺこあおむし
- てぶくろ
- おおきなかぶ
- いやいやえん
- 三びきのやぎのがらがらどん
- ノンタンシリーズ
- しろいうさぎとくろいうさぎ
- ちびくろ・さんぼ
- 100万回生きたねこ
- おしいれのぼうけん
- そらまめくんシリーズ
絵本はいつの時代も記憶に残るものです。お子さんが大人になった時、お子さんが自分の子どもにも読んであげていたらステキですね。
小学校入学までに読んでおきたい!おすすめの絵本
まず、小学校入学前までには、ひらがなは読めるようにしておきましょう。
漢字もできるだけ多く読めた方がよいですが、無理に習わせるのではなく、漢字にふりがながふってある本を選んで読むこともおすすめです。
幼児向けの本にはオススメの年齢が書いてありますが、少し上の年齢の本を読むとそれだけで、漢字は自然に覚えていきます。
しかし、難しすぎる本や理解できない本を読ませるとお子さんは本が嫌いになってしまうかもしれません。
そのため、小学校入学前に読む本はエンターテイメント性が高く、お子さんが興味を持つことができ、かつ、ひらがなや少しの漢字が入った本を選びましょう。
入学前におすすめな本をご紹介していきます。
1.誰もがハマる冒険譚・かいけつゾロリシリーズで「本好き」になろう!
ご存知の方も多い、かいけつゾロリシリーズは、男の子にも女の子にも人気です。
主人公であるキツネのゾロリが「ステキなお嫁さん」を探すために相棒のイシシとノシシとともに旅をするお話です。
スリルあり、いたずらあり、失敗あり、でも常に頑張るゾロリに、子どもたちが自然と応援してしまうお話です。
文字が大きく、小学校1年生に出るくらいの漢字がふりがな付きで出てきます。
シリーズになっているので、本を好きになるきっかけになるかもしれません。
2.かこさとしさんの本とぐりとぐらは、日本語のリズムを学べる
かこさとしさんは、「カラスのパン屋さんシリーズ」「どろぼうがっこうシリーズ」「とこちゃんはどこ」などの非常に有名な絵本の作家です。
絵本に詳しくなくても聞いたことがある方は多いと思います。
可愛いイラストもあり、読みやすく、子どもでも理解できるストーリーが人気です。
一方、ぐりとぐらも、説明する必要もないほど有名な本ですね。
作者は中川李枝子さんです。のねずみのぐりとぐらがホットケーキを作ったりお掃除したりします。
この2種類の本がオススメなのは、「日本語のリズム」を学べるからです。
たとえばぐりとぐら。
「ぼくらのなまえは ぐりとぐら このよでいちばん すきなのは おりょうりすること たべること」
これはぐりとぐらの有名な一説ですが、この文は8・5・8・5・8・5の楽しいリズムで日本語が刻まれています。
思わず歌いたくなってしまいますし、お子さんも覚えやすいですね。
かこさとしさんの本のタイトル「にんじんばたけの パピプペポ」ですが、これも8・5のリズムになっています。
このように、中川李枝子さんと、かこさとしさんの本は踊るようなリズムの日本語で、声に出して読んでみても大変楽しく感じられる本ばかりです。
これらの本から日本語の楽しさ、おもしろさをお子さんが気づいてくれたらステキですね。
ぜひお子さんと一緒に声に出して読んでみてください。
3.365日のお話シリーズ
「毎日読むお話」「365日の物語」などの本が店頭に売っているのをご覧になったことがあるかと思います。
これらは毎日1話だけ読むことを前提としていて、さまざまなお話を1冊の本にまとめており、1年でちょうど本1冊を読めるようになっている本です。
読書習慣を身に着けるには、幼少期から親御さんが読み聞かせをしてあげるのが一番です。
365日シリーズは長いお話が1ページになっていることが多く、大人が読むと物足りないと感じるかもしれません。
しかしお話のあらすじをつかみ、「本を読む習慣」をお子さんにつけさせるのは最適な本です。
ぜひ1日1話、お子さんに読み聞かせをしてあげてください。
小学校低学年の時期にオススメの本
小学校に入ったあとも、お子さんの学年よりは少し難しめの本を読ませることもおすすめです。
低学年の場合は、まだ読書習慣がついていない年齢かと思いますので、本を好きになるように「エンターテイメント」として楽しめる本がオススメです。
1.マジックツリーハウスシリーズ
マジックツリーハウスシリーズは、兄のジャックと妹のアニーがさまざまな時代にタイムスリップして冒険するお話です。
物語として楽しいだけではなく、過去に起こった悲劇や世界史を学べて、歴史に興味を持つきっかけにもなります。
2.マンガ日本の歴史、マンガ世界の歴史
中学受験の学習塾では、5年生から歴史の勉強が始まります。
それまでに読んでおきたいのがこの2種類の本です。
小学校では世界の歴史は学びませんが、世界の流れとともに日本の歴史を学んだ方が理解を深められます。
マンガといえどもあなどってはなりません。
たいへん丁寧にわかりやすく歴史の出来事が描写されていて、理解もしやすいです。
このマンガで日本と世界の歴史をざっくりと頭に入れておくことで、中学受験の社会の準備ができます。
3.故事成語やことわざの本
お話の本ではありませんが、小学校低学年から中学年にかけて読んでおくことをオススメします。
もちろん辞書のような本だとお子さんは興味を持てないと思いますので、ドラえもんやコナンのようなマンガか、物語の中でことわざや故事成語を紹介する本がオススメです。
4.小学生のうちに読んでおきたいオススメの名作
このほか、小学校低学年~中学生のうちに読んでおきたい名作をご紹介します。
- チョコレート戦争
- 海底二万マイル
- 長靴下のピッピ
- 十五少年漂流記
- ガリバー旅行記
- 赤毛のアン
- オズの魔法使い
- 少年探偵団
小学生のうちに読んでおくことで、大人とは違った見方ができる本も多いです。
大人になってから「あの頃に読んでおけばよかった!」と思っても残念ながら遅いため、いまのうちに小学生向けの名作は読んでおきましょう。
小学校高学年に読んでおきたい本
ご紹介した本を読んできたようなお子さんなら、高学年にはもう読書の習慣はついているはずです。
漢字も大人と同程度に読めていると思いますので、親御さんがお好きな大人向けの小説を読ませてみるのもオススメです。
一緒に本の内容について語ることで、読解力や洞察力を身に着けることもできます。
また、文学作品で比較的読みやすいものにもチャレンジすることをオススメします。
夏目漱石であれば「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」、太宰治であれば「走れメロス」、宮沢賢治であれば「注文の多い料理店」や「セロ弾きのゴーシュ」などの短編が読みやすいです。
国語力を伸ばすためにやっておきたいこと
意外と思われるかもしれませんが、国語力を伸ばすためにはさまざまなスポーツの知識を身に着けておきましょう。
国語の文章問題ではスポーツの問題が時折出題され、特に野球の話は比較的多いです。
野球についてまったく知識のないお子さんが、たとえば「三振に終わった次の回は内野フライで、塁に出ることすらできなかった。
4番バッターなのにと彼は考える」と書いてある小説を読んだとしても意味が理解できず、主人公の心情が読み取れないことになります。
また、さまざまなことについて親御さんとお子さんでディスカッションをしてみることをオススメします。
国語の成績のよいお子さんは「大人びている」
大人びるためには、多くのことを知り、経験する必要があります。
たとえばニュースを観ながら感じたことは何かを尋ねてみたり、本を読んだあとに感想を聞いてみたりするなど、考えを聞いてみてください。
実際、中学受験の国語で出る問題は、戦争の話、抽象的な話、論説文、人間の葛藤など、大人でも舌を巻くほどの難しい文章が出題されます。
中学受験を考えているご家庭では、分野問わず、たくさんの本を読ませてあげてください。
それが中学受験での国語で点数の差が出せる近道になるかもしれません。