「あっ、持ってくるの忘れた!」ということ、大人でもありますよね。
忘れ物しないようにしていても、大人だって忘れるのですから、子どもだって忘れてしまうこともあります。
しかし、大人の忘れ物は自分で解決することができますが、子どもの場合、多くは自分で解決することは難しく、大人がそれをカバーすることになるかと思います。
今回は忘れ物が多い子の特徴を整理しながら、忘れ物をしないようにさせるにはどうしたらいいか、教員の経験を通して一緒にみていきましょう。
目次
忘れ物が多い子とは?忘れ物が多い子に共通している点
ではまず、忘れ物が多い子に共通している点を挙げていきます。
整理整頓が苦手
学校で机の中やロッカーが汚いと、だいたい家庭にある自室も汚い子が多いです。
整理整頓が苦手で、自分でプリントを入れたことを忘れてしまったり、学校で明日使うからと探していても、散らかっている中から探すのに飽き、探すのを忘れてしまったりといったことを繰り返している可能性があります。
「ワーキングメモリー」が弱い
「ワーキングメモリー」という言葉をご存じでしょうか。「ワーキングメモリー」というのは、脳の機能の1つで、記憶を「保持」し、「整理」した後、必要がなくなれば「削除」を行います。
脳の中の「メモ帳」や「ふせん」と思っていただけると、想像しやすいのではないでしょうか。
人の脳は、長い期間記憶することができる情報量が決まっているため、必要のない記憶は削除していかないと、脳に負担になってしまいます。
この「ワーキングメモリー」は子どものうちは弱く、成長するにつれ強くなっていくといわれています。
つまり脳の中で「メモ帳」がどこかへいってしまうことがなくなったり、「ふせん」が剥がれにくくなったりするイメージです。
得意な記憶方法が違う
人には得意不得意があり、記憶の方法にも得意不得意があります。
例えば「音声」を聞くことで記憶に残りやすい人、「形」を想像することで記憶に残りやすい人、「文字」にすることで記憶に残りやすい人、「身体を動かす」ことで記憶に残りやすい人、など様々です。
子どもがどの方法が得意かを見極めることで、忘れ物に改善が見られるかもしれません。
今日から出来る!子供に忘れ物をさせないための工夫
学校と保護者で協力をする
まずは、学校側も保護者側も忘れ物が多いことを認識し、なんとか改善させたいという気持ちを一緒にさせましょう。
どちらかだけが忘れ物をないように対策しても、どちらかの負担が大きくなるだけです。
たとえば、高校生くらいになると学校でどうしても持ってきて欲しい物がある場合は、子どもに手に書くように指示します。
連絡帳に書いてもいいですが、書いたことを忘れてしまう場合もあるので、目立つ場所に書かせた方が間違いありません。
また、家庭に連絡を入れておいてもらってもよいでしょう。
連絡を受けた家庭では子どもに、「明日○○が必要なんでしょう?」と具体的に声を掛けるのではなく、「明日必要なものはない?」と言ったように、考え、思い出させる声掛けをしてみましょう。
そこで子どもが「ないよ。」というようであれば、「手に何か書いてあるよ。」と手をみるように促してみてください。
そうすると子どもも「○○が必要だった!」と思い出しやすくなります。
このようにまずパターン化をしてみます。
つまり、「大切なことは手に書く」→「大切なことはなかったか手を見て確認する」ということが習慣化すれば、1人でも忘れ物を減らしていくことができるようになります。
用意は余裕を持って前日に行う
朝の時間は大人にとっては貴重な時間です。子どもと一緒に学校の準備をしたいけど、その時間が惜しくなってしまい、1人で準備させたら結局忘れ物してしまった…なんてことになりかねません。
準備の時間はかかっても10分程あれば終わることが多いかと思います。朝の10分は貴重ですが、夜の10分は意外と取りやすいものです。
前の日に準備させ、準備したものは所定の場所に置かせることで心にも余裕を持って学校へ出発することができます。
整理整頓を心掛ける
前述もしましたが、忘れ物しやすい子は整理整頓が苦手な場合も多く、家の机の上、部屋がぐちゃぐちゃということもしばしば見受けられます。
必要なものがどこに置いてあるか分からないから探すけど、そのうち違うものが目に入ってしまい、探すのを忘れてしまったりしてしまうのです。
まずはどこに何があるか、物の定位置をしっかり決めましょう。探す時間が無くなれば、準備のハードルは下がります。
また、物の位置を決める場合は、なるべく子どもの目線より上には物を配置しないようにしましょう。
子どもは探す時、自分の目線より上には目がいきにくい特性があります。
目線より下に配置することで、子どもの目にとまりやすくなります。
ファイルケースなどにまとめておく
少し手間はかかりますが、教科ごとにファイルケースなどを使ってまとめておいておくことで、忘れ物しにくくなります。
教科などによっては教科書やノート以外にも、ドリルや問題集、資料集などを持っていかなければいけないこともありますが、親にとってはそういったものはどの教科に必要か、いつ必要かわかりにくいものもあります。
最初からファイルケースなどに一緒にしておけば、親としても準備の際に楽です。
実際教員をしていて、どうしても忘れ物が多い子にはこのような対策を家庭にお願いすることもあります。
授業の前に出して、終わったらケースにしまうだけなので、何人の子も見ないといけない教員としては見届ける時間も減り、非常にありがたいです。ファイルの色分けなどをするとさらに分かりやすくなります。
また、必ず家庭連絡用のファイルも作ってもらいます。配布したものを入れるためだけのものです。
保護者の方にはこれだけは必ず見てもらうようにお願いします。
大きめで、入れやすいものを用意してあげると、子どもも入れるのが面倒にならずきちんとしまいやすいです。
どうしても忘れてしまうことが治らないなら
忘れ物は誰にでも経験があるかと思いますが、その頻度が多く気になるといった場合には、発達障害の可能性もありますので、病院などに相談してみてもよいかと思います。
近年はこの発達障害についての理解が進み、その支援なども充実してきています。
そのまま忘れ物が多い状態を放置してした場合、周囲からは「だらしない」や「怠け者」といった目で見られたり、大人からは注意叱責を受けたりしてしまいます。
そうすると、子どもは「自分はダメな人間なんだ」と自分に自信が無くなってしまったり、周囲からからかわれたりし、いじめや不登校に繋がってしまうケースもあります。
まずは悩み過ぎず、周囲に相談してみてください。
忘れやすさにも個人差があるので家庭でも協力していきましょう!
どしても人には「個人差」があります。記憶力の容量にももちろん違いがあるため、記憶の残りやすさ、忘れやすさにも差がでてきてしまいます。
「うちの子は何でこんなに忘れ物が多いのか?」と悩むご家庭もあるかと思いますが、忘れやすさにも個人差があることを理解し、その子にあった対策を考えていってあげることの方が大切です。
忘れ物はすぐに改善されるようなことではなく、長い目で見守ってあげなければならないため、保護者にとっては非常に大変なことです。
つい、声を荒げたくなる気持ちも分かりますが、忘れ物がしたくて忘れ物をしている子はほとんどいないはずです。
子どもたちも何とか忘れ物をしないようにとしているのです。
多くの子はいつか忘れ物はしなくなっていきます。
忘れ物が多い子どもたちを、どうしたら支援してあげられるのか、学校や家庭がぜひ協力して支えてあげて欲しいと思います。