中学受験で志望校を決めるとき、やはり大学の合格・進学実績は重要な目安になるでしょう。
せっかく中学受験をするなら優れた合格・進学実績を持つ学校を目指したいと考えるご家庭・お子さんも多いはずです。
一方で、合格・進学実績に優れた学校はどのような教育方針なのか、規則は厳しいのか、詰め込み学習が多いのか、大学附属の中高一貫校は他大学への合格・進学実績はあるのかなど、何かと疑問点も多いかと思います。
この記事では、塾講師経験から大学への合格・進学実績が豊富な中高一貫校の特徴についてお話ししていきます。
目次
中高一貫校の合格・進学実績は必ず見ておこう
志望校を決める際、校風や教育方針、偏差値などが目安になるかと思いますが、同時に大学の合格・進学実績もきちんと確認することが大事です。
一般的に中高一貫校は大学進学に力を入れており、大学受験向けの充実したカリキュラムが多いです。
それらのカリキュラムと合格・進学実績をあらかじめ確認し、大学進学まで見据えて志望校を決めていくと良いでしょう。
大学附属の中高一貫校は進学実績も見ておこう
中高一貫校の中には大学附属の学校もあります。
一方、こうした学校でも、他大学への合格・進学実績が豊富な場合もあります。
学校によっては、内部進学より他大学への進学のほうが多い場合もあり、大学附属校の教育方針は様々なのです。
もちろん、内部進学で大学に進学するケースがほとんどの学校もあります。
このあたりは学校の方針によって大きく変わりますので、大学附属校といえども、進学実績はあらかじめ確認しておくことが大事です。
合格・進学実績に優れているのは偏差値上位の難関校だけではない
当然といえば当然の話ですが、偏差値の高い難関校は、難関大学などの合格・進学実績が豊富です。
例えば東大への合格実績では、関東であれば開成中学校、筑波大学附属駒場中学校、聖光学院中学校、桜蔭中学校、渋谷教育学園幕張中学校などが有名でしょう。
関西では灘中学校や西大和学園中学校などが有名です。
いずれも難関校ではありますが、それ相応に東大をはじめとする難関大学への高い合格実績を誇ります。
一方、合格・進学実績に優れているのは偏差値上位の難関校だけではありません。
基礎から応用まで伸ばす効率的なカリキュラムのもと、難関国公立大学や難関私大への合格・進学実績が豊富な学校も多いのです。
上記で挙げた最難関校だけでなく、他の学校の情報も確認し、幅広い視点を持つことが大事です。
偏差値だけで判断することなく、気になる学校の進路情報や合格実績は事前にしっかりチェックしておきましょう。
大学への合格・進学実績が良い中高一貫校の特徴とは?
ここまでの話を大前提として、以下、中高一貫校で大学合格・進学実績が良い学校の特徴についてお話ししていきます。
主体性の重視とサポートのバランスが良い
大学合格・進学実績が良い学校というと、厳しい規則のもとで徹底した教育を行う、といったイメージを抱く方もいるでしょう。
しかし、実はそうとは言えません。
むしろ、一見すると校則がゆるく見える学校もあるのです。
もちろんあまりに自由すぎる学校であったり、学校内の規律が弱まっているような学校だと、生徒が勉強に集中しにくくなるでしょう。
厳しすぎず、緩すぎず、このバランスが非常に重要と言えます。
このあたりは事前に教育方針や校風、校則などをしっかり確認し、どのような方向で教育を進めているのかチェックしましょう。
勉強は最終的に生徒が主体的に行うもの
そもそも勉強というのは、人に言われてやるだけでは伸びません。
最終的には生徒一人ひとりが目的意識を持って勉強を行うことが理想です。
「この学問をもっと学びたい」「あの大学に行くためにしっかり勉強する」など、主体的な目的があってこそ勉強に身が入るわけです。
この主体性を最大限引き出すことのできる学校は、おのずと大学への合格・進学実績も豊富になるでしょう。
一方、生徒が全て自分の判断で勉強しても、どこかで方向性が狂う可能性もあります。
そうならないよう、適宜学校がサポートし、必要があれば軌道修正する必要があるのです。
このように、主体性を伸ばしつつ必要な部分で最大限のサポート・指導をする、これが理想となるでしょう。
詰め込み学習のような形ではなく、必要なサポートをしつつ生徒が自発的に勉強する方向に持っていく、これが重要です。
倫理的な教育が厳しい学校はある
キリスト教の思想に基づく学校など、倫理的な教育・規律が厳しめの学校は確かにあります。
ただし、これは生徒の主体性を奪うものではありません。
こうした教育・規律はキリスト教などの宗教思想に基づくものであり、詰め込み学習のような教育とは異なります。
規則に厳しい学校が悪いという話では全くないので、ここは注意してください。
実際、合格・進学実績に優れた最難関校には、倫理的な規律が厳しい学校もあります。
厳しいからといって生徒の主体性をおろそかにしているわけではないのです。
難関校は教育方針より母集団の学力が影響するの?
先ほど挙げたような偏差値上位の難関校は、確かに合格・進学実績が豊富です。
一方、難関校の場合、そもそも生徒の母集団の学力が高いため、その分難関大学に受かる生徒数も多くなります。
それこそ開成中学校や筑波大学附属駒場中学校などの最難関校はそもそも合格が難しいため、その受験を乗り切ってきた子ども達の学力は非常に高く、そこも合格・進学実績の豊かさにつながっているでしょう。
ただし、難関校の教育方針ももちろん無関係ではありません。
確かに生徒の母集団の学力の高さも特徴ですが、それだけで難関大学への合格・進学実績が豊富とは言えないのです。
例えば開成中学校は、名物行事でもある運動会などをはじめ、生徒の自主性を重んじる学校行事や各種部活動が盛んです。
決して学問だけにこだわった教育体制ではなく、学校行事などを通じて生徒の主体性・自主性を最大限引き出すことに焦点が置かれています。
同じく、他の難関校もそれぞれ独自の教育方針を掲げ、生徒が主体的に何かを学んで成長する方向でサポートを行っています。
こうした自主性が勉強にも反映され、それが合格・進学実績にも表れているわけです。
決して偏差値や上位難関校云々の話だけでなく、最終的にはその学校の教育方針や理念も大きく影響します。
最新の入試傾向に対応したカリキュラムを取り入れている
昨今の中学校・高校は新学習指導要領の導入により、これまで以上に思考力や判断力が重視される傾向にあります。
そしてこの新学習指導要領に対応し、大学入学共通テストも大きく変わるものと見られます。
2025年度の共通テストでは「情報」が新教科として導入されるなど、時代の変化に即して大学入試の在り方も大きく変わろうとしています。
こうした最新の入試傾向に対応したカリキュラムを取り入れることも、合格・進学実績の豊富な中高一貫校の特徴です。
大学入学共通テストの特色
そもそも大学入学共通テストは2021年に導入された新しい形式であり、従来のセンター試験より思考力や判断力、表現力などを重視する内容となっています。
それに加え、上記で挙げた新学習指導要領の影響もあり、さらに大きく変わろうとしているわけです。
このように、大学入試の在り方は次々に変化しており、中高一貫校にとってもこうした流れを意識することは必要不可欠となります。
各校の伝統や教育方針は大切にしつつ、新しい傾向に柔軟に対応していく、そのような学校が理想と言えるでしょう。
各校の教育方針や合格・進学実績を確認する際には、常に新しい視点が取り入れられている学校かどうかもチェックしてみると良いでしょう。
大学受験だけが重要視されるわけじゃない?
最後に、昨今の中高一貫校の在り方についても少しお話ししていきます。
確かに、大学への合格・進学実績は志望校を選ぶ際の目安になりますが、そもそも全ての学校が大学受験だけを重要視しているわけではありません。
この点も、合格・進学実績に関連する点として意識してみてください。
合格・進学実績以外の点も重視する学校は多い
中高一貫校の在り方は多様であり、大学進学以外の側面にも力を入れている学校は多いです。
それこそ新学習指導要領の導入に見られるように、最近は思考力や判断力がこれまで以上に重視され、単なる学力や知識だけが重要視されるわけではありません。
子どもが実際に社会に出たとき、思考力や判断力、表現力は様々な場面で役に立つはずです。
そうした実務的な能力を鍛えることに重きを置いた学校もあり、必ずしも大学受験に必要な学力のみが重視されるわけではありません。
もちろん思考力などを磨くことを重要視しつつ、大学進学に力を入れている学校もたくさんあります。
ただ、中高一貫校の在り方は大学進学に特化するだけではありません。
こうした多様な在り方・教育方針があることはぜひ意識しておいてください。
中堅校への志望も増加している
しばしば言われることですが、最近の中学受験ではいわゆる中堅校への志望も増えています。
各ご家庭の方針としても、必ずしも大学合格・進学実績だけを重要視せず、多様な教育の在り方を意識していると言えるでしょう。
進学実績より教育内容を重視し、社会で役に立つスキルを中高で身につけさせたいと考えるご家庭も多いです。
もちろん、重視する場合でも、各校の教育方針やカリキュラムを一緒にチェックすることは必須です。
ただ、どちらかと言えば進学実績はあまり気にしないと考えるご家庭も増えている可能性はあります。
進学実績は一つの目安!広い視野で捉えよう
もちろん、大学への合格・進学実績が重要な目安であることは変わりがなく、せっかく中学受験をするのだから大学進学に優れた学校に行かせたいと考える親御さんも多いでしょう。
このあたりは最終的に各ご家庭の教育方針に左右されますが、昨今の学校や教育の在り方・捉え方は多種多様であることも踏まえ、ぜひ広い視野で捉えていただけると幸いです。
まとめ
今回は、大学への合格・進学実績が豊富な中高一貫校の特徴についてお話ししていきました。
大学合格・進学実績に優れた学校は、なにも詰め込み学習や徹底した厳しい規則を実施しているわけではありません。
それよりも生徒の主体性を重んじ、自発的に学習できる環境を重視する傾向があります。
もちろん生徒一人で全て効率的に勉強できるわけではないので、軌道修正が必要な場合は適宜サポートを行うなど、主体性の重視とサポートのバランスに優れています。
また、偏差値上位の難関校が大学合格・進学実績に優れているのは、確かに母集団の生徒の学力の高さも要因ですが、決してそれだけではなく、各校の主体性を重んじた教育方針やサポート体制が大きく関係します。
もちろん偏差値上位の難関校以外にも、独自の教育方針やカリキュラムで基礎から応用まで学力を伸ばし、豊富な合格・進学実績を誇る学校もあります。
最難関校だけでなく、ぜひいろいろな学校の情報に触れ、志望校を検討してみてください。
一方、昨今は教育の在り方も多様化しており、全ての学校が必ずしも大学進学だけを重視しているとは限りません。
これは各ご家庭の教育方針も同様で、最近はいわゆる中堅校への志望も増えており、教育や子どもの進路をめぐる価値観も多様化しています。
中高一貫校の大学への進学実績は重要な目安ですので、ぜひいろいろな視点から中高一貫校の魅力を見つけてみてください。