少し前までは「子どもは元気に外で遊ぶもの」が当たり前と考えられてきましたが、近年は外遊びをする子どもの姿は少なくなってしまっているように思います。
これは、子どもを持つ多くの親が感じていることではないでしょうか。
外遊びが少なくなれば、子どもたちは運動不足にならないか、という点が心配です。
今回は教諭経験のある筆者と運動不足によって引き起こされる影響について考えつつ、運動不足の解消法はどのようなことがあるのかお伝えしていきます。
目次
子どもたちの運動不足・体力低下の要因は?
テレビや新聞などで「子どもの運動不足」や「体力低下」などの報道が度々されるので、そのような状況になっていることは、多くの人が承知しているところではないでしょうか。
実際、昭和39年から文部科学省が行っている「体力・運動能力調査」によると、昭和60年頃を境に子どもの走る力、投げる力、握力などが長期的に低下の一途をたどっています。
では、なぜ運動不足・体力低下が見られるようになったのでしょうか。その要因はいくつか考えられます。
1.日常生活の変化
そもそも子どもたちが自由に遊べる場所は少なくなっています。
公園自体が無くなってしまったり、公園があってもボール遊び禁止であったりなど、遊びに制限がある場合もあります。
また、少子化により一緒に遊ぶ仲間がいないという場合もあるでしょうし、習い事が忙しく友だちと一緒に遊ぶことが難しいという場合もあるかと思います。
また、「外は危険」というのもあるかもしれません。
テレビを見ていると、子どもたちが巻き込まれてしまった事件・事故のニュースは度々目にする機会がありますが、そういったニュースを目にすると、親としては心配になり、外に出すことをためらう気持ちも出てきてしまいます。
2.大人の外遊びやスポーツに対する考え方の変化
近年は体を動かすことよりも、学力向上や知識を増やすことに意識が向いている傾向が見られます。
そこまでは意識していなかったとしても、実際にはかつては外遊びの時間として使われていた放課後の時間に、学力向上や知識を増やすような習い事をしている子が増えています。
また、「スポーツは習い事でしているからわざわざ外遊びはしなくても大丈夫」と考える保護者の方もらっしゃいます。
3.経済発展や科学技術の進歩
私たちの生活は非常に便利になってきました。
特に近年は家事労働を軽減するような家電が増えるなど、体力は必要とせず、運動量は確実に減ってきています。
すると、子どもたちに回ってくるはずであった「家事の手伝い」も大幅に減少します。
家事の手伝いは、体の様々な部位を使い、体力を必要とするものでしたが、この手伝いがなくなったことでも運動量は減ってしまうのです。
また、家の中だけでなく、公共交通機関の発達によって、歩いたり自転車に乗ったりする機会が減ることでの運動不足なども懸念されます。
上記にあげたような要因が重なり合い、子どもたちは外で遊ぶ機会、運動する機会を逃し、残された選択肢が家の中で大人しくできるような、テレビの視聴やゲームであると考えると、現代に生きる子どもたちは体力作りの機会を奪われるようになっていってしまったのかもしれません。
運動不足が招く影響!ゴールデンエイジの時期を大切にしよう
子どもの運動不足が続けば、体力の低下は避けることができません。
体力は人間が活動するための源であり、物事に対する意欲や気力といった精神面にも深く関係しています。
体力が低下すれば、子どもたちの健康や気力の面での悪影響が心配されます。
体力がなく病気がちになる子どもが増え、ストレスに対する抵抗力や気力が弱まり、社会を支えていく力が減少すれば、国としての発展にも影響するといっても過言ではありません。
体力は人が生涯にわたって健康で、充実した生活を送るために必要なものです。
特に幼児期は「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、体の基礎をつくる大切な時期とされています。
その時期に、遊びやスポーツを通して様々な動作や体の動かし方を学んでいくことが大切になります。
子どもの運動不足を解消!運動不足解消法と体力をつけるための4つのポイント
では、具体的にどのような方法で運動不足を解消し、体力をつけていけばよいのでしょうか。
4つのポイントをあげてみたので、ぜひ実践してみてください。
1.健康でいるために生活習慣を見直そう
「体力」というと、「走る」、「投げる」などの体を動かす力を連想しがちですが、「風邪をひかない」、「怪我をしない」などの基礎的な体力も非常に大切です。
特に日本では平均寿命が年々延び、長寿国としてしられています。
せっかく長く生きられるなら、健康的な生活がしたいですよね。
そのためには、適度な運動だけでなく、規則正しい生活を送ることも大切です。
まずは「よく食べ、よく寝て、よく体を動かすこと」という当たり前のことができているか、子どもたちの生活習慣を見直してみましょう。
2.お手伝いは家の中で出来る体力作り!
お子さんにお手伝いをさせていますか?
忙しいとつい、自分でやってしまった方が早いからと、自分でさっと片付けてしまうことも忙しい現代では起きやすいこと事例ではないでしょうか。
筆者自身も日々忙しくしていると、子どもたちが静かにゲームやテレビに向かってくれていると、非常に助かると感じてしまっています。
しかし、このちょっとした「お手伝い」は、ちょっとした体力作りに繋がります。
テーブルを拭くにしても、腕を前後左右に動かし、体を大きく使うことになります。
料理を運んで並べてもらう動作も、バランス感覚に繋がります。
日々のちょっとしたことでも、毎日やると、積み重なり、大きな結果となっていきます。
3.毎日コツコツ歩こう!
毎日歩いている、という方もいるかもしれませんが、公共交通機関や車の普及により、歩く時間というのは少なくなってきていると言われています。
子どもの送迎や近所の買い物に、楽だからと自転車や車を使ってしまったりしていませんか。
子どもがいると、乗り物を使った方がチョロチョロされず楽だし、安全というのもあると思いますが、時間や余裕があるときは散歩がてら歩いてみるのもよいでしょう。
歩くと体力がつくのはもちろん、歩くことでお腹が空いて、食事をしっかり摂ることにつながります。
また、体力を消費すれば、疲れて夜にしっかり眠ることもできるでしょう。
4.家族で一緒に体力作りに取り組んでみよう
少子化や遊べる場所、治安など様々な問題があり、子どもに「外で遊んできなさい」といっても、それができるとは限らないと、先に述べさせていただきました。
では、家族で一緒に体力作りをしてみるのはどうでしょうか。
家の中で一緒に運動するのもよいですし、外に遊びにいってもよいでしょう。
まずは、子どもに体を動かすことは楽しい、という気持ちを持たせてあげましょう。
子どもたちは、楽しいと思うことは自発的に行うようになります。まずは、そのきっかけを与えてあげましょう。
また、一緒に運動や遊びをすることでスキンシップにも繋がります。
もし、どんな風に関わったら運動不足の解消にいいか分からないという時は、スポーツイベントやスポーツ教室もありまので、1度一緒に参加してみるのもおすすめです。
まとめ
様々な社会的な要因や家庭事情によって、子どもの運動不足や体力の低下が起きてしまっているのは事実です。
しかし、日々の中でちょっと意識を変えることで、子どもの運動不足の解消や体力作りを行うことは可能です。
子どもたちが大きくなり、歳をとっても健康的に過ごすことができるかどうかは、子どもの小さな頃の生活に関係してきます。
ぜひ、楽しみながらご家族で体力作りをしてみてください。