中学受験を考えているご家庭で、お子さんは少なからずとも受験をするという意識を持っていますか?
塾講師をしてきた中で、お子さんに中学受験をさせたいと思っても、子どもがなかなか乗り気にならない場合があります。
また、受験することは決まっていても、子どもの中に「受験する」という実感・意識がうまく芽生えないこともあります。
いずれのケースも、親としては悩みの種になってしまうのではないでしょうか。
この記事では、子どもに中学受験をするという意識を持たせる方法やポイントについてご紹介していきます。
目次
中学受験を意識させる場面は2つ
「中学受験をする」という意識を子どもに持たせる場面は、
- これから中学受験をするかどうか決める場合
- すでに中学受験をすることは決まっている場合
の2つに分けて考える必要があります。
中学受験をするかどうか未定の場合は、まず「中学受験、やってみない?」という働きかけからスタートします。
まず中学受験に興味を持ってもらい、乗り気になってくれるように促す段階です。
一方で、すでに中学受験をすることは決まっていても、「中学受験をする」という実感・意識が子どもに芽生えていない場合もあるでしょう。
こうしたケースでも、中学受験を再度意識させなくてはなりません。
このように、これから中学受験を勧める段階で中学受験を意識させることはもちろん、中学受験をすることが決まった後でも意識付けが必要になる場合があるのです。
以下、「これから中学受験をするかどうか決める場合」と「すでに中学受験をすることは決まっている場合」に分け、中学受験をするという意識を持たせる方法をご紹介していきます。
これから中学受験をするかどうか決める場合
まず、これから子どもに中学受験を勧め、受験をするかどうか決めるという段階において、中学受験を意識させる方法・ポイントを整理しておきましょう。
まずは中学受験に興味を持たせる
中学受験は、子どもに様々な経験をさせる良い機会ですが、中学受験を勧めても子どもが乗り気になってくれるとは限りません。
また、親が無理矢理中学受験の勉強を開始させることは好ましくありません。
親の働きかけと子どもの反応次第で、実際に中学受験をするかどうか決める形になります。
このように中学受験をするかどうか未定の段階では、子どもが中学受験に興味を持つかどうかがカギとなります。
つまり、この段階で中学受験を意識させるには、受験校の魅力などをきちんと伝え、子どもに「この学校に行ってみたい」という気持ちを芽生えさせることから始めなくてはなりません。
受験勉強はあくまで志望校合格を目的とした勉強なので、「この学校に行ってみたい」という気持ちが子どもの中に芽生えないと、受験勉強をさせることは難しいです。
いろいろな受験校の魅力を伝えるなどして、まずは中学受験に興味を持ってもらうことから始めましょう。
理由を示さず受験勉強をさせることはNG
受験勉強をさせたい場合でも、理由を示さずに「これから受験勉強をしなさい」と言うことは避けるべきです。
理由もわからず「受験勉強をするように」と言われても、子どもは納得してくれません。
受験校の魅力を伝え、「この学校に行くには受験を乗り切らないといけない」という受験勉強の理由を示したうえで、「中学受験、やってみない?」と働きかける必要があります。
そのうえで、子どもに「この学校に行ってみたい」という意識が生まれれば、子どもは中学受験に乗り気になってくれます。
勉強が好きな子どもに対しても受験理由はしっかり伝える
「この子は勉強が比較的好きだから、受験勉強をさせても大丈夫だろう」という見方もあると思います。
ただ、勉強が好きな子どもに対しても、中学受験を勧める場合には受験理由をしっかり伝えましょう。
いくら勉強が好きだとしても、理由もわからず受験勉強をさせられて納得する子どもはいません。
勉強が好きだからといって、受験勉強に関心を示すとは限らないからです。
やはり受験校の魅力や受験勉強の理由をしっかり伝えたうえで、中学受験を意識させる必要があります。
将来的な話にも触れてみる
中学受験をするという意識を持たせるとき、場合によっては将来の大学進学やその後の話にも触れ、中学受験が持つ意味を伝えることも大切です。
中学受験をさせることで、子どもは受験勉強から様々なことを学習できます。
これは、知識の習得や学力の向上だけを意味するのではありません。
目標に向けて努力すること、計画を立てること、自己管理力を磨くことなど、社会で役立つ経験をすることができるのです。
もちろん志望校に合格するに越したことはありませんが、中学受験で得るものは合格だけではありません。
そのため、一つの経験として、子どもに中学受験をさせたいと考える親も多いです。
社会で生きていく中で役に立つことを学べるという点も、子どもが中学受験に興味を持つきっかけになり得ます。
受験校の魅力などに加え、こうした将来的な話にも触れると良いでしょう。
どの学年になったら中学受験を勧める?
中学受験の勉強は、一般的には小学校高学年から開始するケースが多いです。
小学校4年生から受験勉強を開始させたい場合、小学校3年生の後半あたりから中学受験を意識させることが好ましいです。
小学校5年生から勉強をする場合であれば、小学校4年生から徐々に中学受験に意識を向けさせることになるでしょう。
小学校3年生・4年生の時点では、「この学校に行ってみたい」という興味が特に重要な意味を持ちます。
3年生・4年生の時点では将来的なイメージをつかむことが難しいので、中学受験の経験が将来役に立つと説明しても、子どもはうまくイメージできない場合があります。
もちろん将来的な話に触れることも大切ですが、まずは「この学校に行ってみたい」という興味を持たせることから始めてみましょう。
すでに中学受験をすることは決まっている場合
次に、中学受験をすることはすでに決まっている段階で、改めて「中学受験をする」という意識を持たせる方法・ポイントについて整理しておきましょう。
受験勉強をしているという実感を持たせる
中学受験をすることが決まり、受験勉強をしている段階でも、子どもの中に「中学受験をする」という意識がなかなか芽生えないことがあります。
勉強そのものは続けていても、受験のために勉強しているという意識が少なければ、成績が思うように伸びなくなるおそれがあります。
また、子どもがなかなか集中しない原因にもなってしまいます。
子どもが「この学校に行ってみたい」と考え、受験勉強を始めても、やはり最初は受験に対する実感が薄いことが多いです。
このような時期には、「今、自分は受験勉強をしているんだ」という実感を持たせる工夫が必要です。
例えば、定期的に志望校の魅力を再確認させると、「この学校に行きたい」という目的意識が継続的に生まれます。
そして、「この学校に行くためには受験をして合格しなければならない」「合格のためには今勉強をしなくてはならない」という気持ちが自然に生まれれば、「今、自分は受験勉強をしているんだ」という実感も生まれます。
ただ受験勉強をさせれば良いというわけではない
ただ勉強を続けるだけでは子どもは飽きてしまい、「中学受験をする」という意識が薄れてしまいます。
志望校合格のために受験勉強をしているという実感を持たせる必要があり、そのために親の働きかけによって子どものモチベーションを維持する必要があるわけです。
そして、「中学受験をする」という意識を持たせ続けることが重要です。
小学校6年生あたりで受験勉強がさらに本格化すれば、それだけ「中学受験をする」という実感も強くなりますが、4年生・5年生くらいまでは受験に対する実感・意識がうまく芽生えないこともあります。
このような時期は特に注意し、ただ勉強をさせるだけという状態は避けましょう。
受験勉強開始後も親の働きかけが大きな意味を持つ
このように、受験勉強を開始した後でも、親の働きかけは重要な意味を持ちます。
中学受験を意識させることの重要性は、受験を勧める段階だけではないのです。
子どもが最初に抱いた「この学校に行ってみたい」という気持ちを無駄にしないためにも、子どもと適宜コミュニケーションをとり、志望校の魅力の確認や将来的な話をするなどして、勉強以外の時間もしっかり確保するようにしましょう。
中学受験に興味を持ってもらうことが大切
今回は、子どもに「中学受験をする」という意識を持たせる方法やポイントについてご紹介しました。
中学受験を意識させることは、これから中学受験を勧めて受験をするかどうか決める場合だけでなく、すでに中学受験をすることが決まって受験勉強をしている段階でも重要な意味を持ちます。
中学受験を勧める段階では、まず中学受験に興味を持ってもらうことが大切です。
中学受験のきっかけは「この学校に行ってみたい」という気持ちなので、いろいろな受験校の魅力を伝えるなどして、子どもに働きかけてみましょう。
また、受験勉強開始後に「中学受験をする」という意識がうまく芽生えない場合も、定期的に志望校の魅力を伝えるなどして、子どもときちんとコミュニケーションをとるようにしましょう。
子どもが持つ「この学校に行きたい」という気持ちと、その気持ちを持続させる親の働きかけが大切な意味を持ちます。
中学受験は、親子の二人三脚で乗り切るものです。
「中学受験をする」という意識を子どもに持たせる際にも、親子の二人三脚で受験を乗り切ることを念頭に、子どもと接してみてください。