小学校への入学はお子さんにとっても、親御さんにとっても、生活や人生の大きな節目となる、機会のひとつではないでしょうか。
変化の一例として親御さんは、今まで必要であった送迎がなくなり、毎日顔を合わせていた先生や、お子さんの友だちとも、会ったり話したりすることが、ぐんと少なくなります。
それに伴い、我が子に関する情報源が減り、心もとない親御さんもいらっしゃるかと思います。
お子さんが小さければ、「小学生なんて、まだまだ先の話し」だと感じるかもしれませんが、子どもの育ちは、日々の積み重ねです。
そして何より、子どもの成長は早いです。
小学校生活を、お子さんが希望を持ってスタートできるように、また、親御さんがお子さんを信じて送り出せるように、保育士経験より保育園、幼稚園と小学校生活の違いから、「これだけは」身につけて欲しい、お行儀やマナーについてお伝えしていきます。
目次
お行儀やマナーの必要性
お行儀やマナーは、明確に定められたルールと違い、絶対に守らなければならないものではありません。
それ故に、臨機応変な対応が求められたり、文化や人によって良しとすることが異なります。
そのような曖昧なものにも関わらず、なぜ必要なのでしょうか。
なぜ、子どもに身につけて欲しいと思うのでしょうか。
筆者は、他人を思いやったり、尊敬したりする気持ちが「お行儀やマナー」だと考えます。
ですから、社会の一員として、他人と共に生きていく上で必要だと思います。
そして、それは自分自身を大切にして、丁寧に生きることにもつながります。
困った状況になったら他人に困っていると発信できることの大切さ
一旦、お行儀やマナーの話しから離れて、「他人に頼る力」についてお話ししたいと思います。
これは、小学校に限定せず、人生において、とても大切な力のひとつです。
大人でも、苦手に感じる方はいらっしゃるのではないでしょうか。
「頼る」ことは「依存」や「甘え」とは違いますが、混同されやすく、それ故に頼り下手・甘え上手などと、得手不得手の意識があるのかと思います。
簡単にですが、イメージとしては、「頼る」と「依存」は対極にあり、「甘え」は場合によって「頼る」と「依存」のどちらにもなります。
これらの違いは、そこに「自分の考え」が存在しているかどうかです。
幼稚園や保育園の時は、子どもの人数に対して大人の手が多く、親御さんのお子さんに対する援助も、比較的手厚いと思います。
ですから、子どもが「困った」状況に陥った際に、子どもが自ら「困ってる!」と発信できなかった場合も、大人が気づきやすく、手助けもしやすいです。
これが、小学生になると、そうはいかなくなってきます。
子ども自身が、自分が「困っている」ことを知り、「なぜ、困っているのか」「どうしたら解決できるのか」を考え、「他人を頼る」ことが必要になってきます。
しかし、人生経験6年の子どもにとって、それは難しく感じることも多いと思います。
そのハードルを少しでも下げることに、「お行儀やマナー」が一役買ってくれるのです。
これだけは身につけておこう!挨拶は周りとの関係を築いていく第一歩!
そう、挨拶です!
6歳までに「これだけは」身につけて欲しいお行儀やマナーは、大人にとっても基本である、挨拶なのです。
一口に「挨拶」と言っても、相手や状況に応じた振る舞いが求められ、また日々の積み重ねや経験がないと、実行が難しかったり、そもそもの必要性を理解できなかったりします。
挨拶を交わすことで新しいお友達、地域の方と助け合える関係を築こう!
挨拶は、人間関係を築く、初めの一歩です。
相手の目を見て、にっこり笑って、挨拶を交わすことで、人との距離は縮みます。
初めは挨拶だけでも、だんだんと顔馴染みになっていったり、互いを取り巻く雰囲気がやわらかくなっていったりします。
挨拶は、人間関係を築いていく、コミュニケーションとして、とても重要なのです。
例えば、冒頭で触れましたが、小学生になると送り迎えがなくなります。
始めのうちは、集団登下校がありますが、期間を迎えたら子どもだけになります。
最近では、高齢者が小学生の登下校を見守る、ボランティア活動が行われている地域もあり、子どもがボランティアの方と挨拶を交わし、関係を築いていくことで、「トイレに行きたくなっちゃった!」「忘れ物に気がついたけど、どうしたらいいかわからない」などの場面で、相談をしやすくなると思います。
他にも、友だちに「ありがとう」「ごめんね」を言えることで、助け合える関係を築きやすくなると思います。大人でも同じですよね。
子どもが、小学校という新しい環境の中で、初めて出会う先生やお友だち、登下校の見守りをしてくださっている地域の方々と、挨拶をきっかけに人間関係を築き、広げていくことで、自分自身の居場所を作り、困った時に頼りやすくなることにつながっていきます。
お行儀、マナーを身につける際にはまずは親御さんがお手本に!
挨拶は、「おはようございます」「こんにちは」など時間に合わせたものや、「ありがとうございます」「お願いします」などの状況に合わせたものがあります。
更に、相手に合わせて、くだけた言い方にするか、丁寧語にするか…など、挙げるとキリがない程に、バリエーションがあります。
親御さん自身は、しっかり挨拶が出来ていますか?
しない、と思われた方は、
- 人見知りだから、積極的にはしない。
- 気づいて貰えなかったり、無視されたりした経験があって、相手の反応が心配で、自分からはしない。
- 仕事でもない場面での、必要性を感じない。
など、様々な理由があると思います。
しかし、それを子どもは見ています。
お子さんに挨拶を身につけてもらうには、まずは、親御さんが手本となり、見せてあげることが重要です。
どのくらいの声の大きさがいいのか、どんな表情か、どんな場面で、どのような挨拶をするのか。
日頃の大人のやり取りを見たり、実際に自分自身が言葉をかけてもらったりすることで、子どもはそれを覚えていきます。
沢山の挨拶や言葉のやり取りが、子どもの中に集まり溜まっていき、それらが溢れ出た時に、子どもは実践に移行します。
親のお手本を見て状況に合った挨拶が子供が身につけられます!
そして、実践することで、相手が笑顔で挨拶を返してくれたり、誉めてくれたり、「ありがとう」を通して気持ちが温かくなったりする成功体験を積み重ねられます。
反対に「今は、こんにちはって挨拶する時間だよ」「電話中だったから、大きな声じゃなくて、会釈や小さな声でよかったんだよ」などと失敗を繰り返すことで、状況に合った挨拶が身に付いていきます。
ここで、少し気をつけて頂きたいのは、子どもの失敗を指摘する際に、「ああしちゃダメ」「それはダメ」とダメ出しはしないようにましょう。
具体的に「どうしたら良かったのか」を伝えるようにしてくださいね。
しかし、基本は子どもに挨拶をさせようとするのではなく、大人が手本を見せることに尽きます。
最後に
挨拶のお行儀やマナーは、一朝一夕に、身に付くものではありませんが、手遅れということは絶対にありません。
まずは大人から、普段忘れがちな、食事の時の挨拶「いただきます」「用意してくれて、ありがとう」「ご馳走さま」などから、意識して取り組んでみてはいかがでしょうか。
そして、きっとそこからは、お行儀やマナーだけでなく、得るものは沢山あると思います。